最近はどうも<怪談>というものが流行っているらしい。誰が始めたのか不明の根も葉もないただの噂話―なのに人々はそれを信じ恐怖は拡大をしていった。

『<鬼夜鷹>ですか?』
「ああ、中でも今江戸で一番なのは<鬼夜鷹>、あんたも気をつけるこった」

<怪談>、信じてしまう気だって分からなくもない。もし私が人間であったなら間違いなく信じて恐怖してたよ。きっと夜も眠れない、不眠症まっしぐらだね。ああ末恐ろしい。
こんなことを言っていると「じゃあこれはガセ情報か」って話に発展するけど<鬼夜鷹>の話は実際あるよ、実在するしね。他にも<足取り坊主>とか<顔喰い>とか、挙げはじめたらきりがない。

『ありがとうおじいさん』

耳にタコができるくらい聞いたその<鬼夜鷹>の話をしてくれたおじいさんの好意をここは素直に受け取っておくことにします。

そもそもだーれがこんな怪談流行らしたんだか、怒らないから出てきなさい!なんて言いたい。ただ発信源が知りたい。何かをし始めた張本人って、それが流行りはじめた時どんな心境なんだろうか。それが素直に知りたい。「私の天下だあああ」て言う人がほとんどだと思うんだけど、逆に「あーあ、広まっちゃった」とか思う人ってこの広い江戸にはやっぱりいるのかな?

とか話が逸れたのでもとに戻す努力をするとして。
私は、あれだね!<怪談>から生まれた妖怪もいるけど、言わせてもらえば、はじめからいる妖怪を愚弄してるようにしか思えないね。新種の妖怪かなんだか知らないけど歳じゃ負けないよ、人生経験じゃ負けないよ。



というか、この華やか〜な江戸に、私の目の前に明らか妖怪ってのが、何人だ?6人?いるんですが…。だって1人首が無い人いるし空飛んでるちっさいのだっているし。みんな色々と焦ってるし。
色んな人に聞き回っては喜怒哀楽したり…なんだろう、浅草だの日本橋だの出てきてるからどこか観光名所でも聞いているのかな?
ちょうど私今暇人だし助けるっていうのもなかなか心が温まる話だね、悪い人たちじゃ無さそうだし。と独り言―ではありません。
声をかけようと歩み寄ると突然例の首が無い青年が叫び声を…あわわ。

「うおあああ、りはん!!てめえどこいったー!!!」

悪い人の感じは出てないけどなんだか近寄りがたい声かけづらい話の筋が当然読めない。
ヘタレな私はここで挫折。自称江戸通の私も手も足も出なかった。

結局自分でもよく分からない昼間を過ごしてしまった。別に昼間も全然問題ないけど強いて言うなら夜行性の私は夜が本業。しかも今日に限って昼間変なところに遭遇してしまったにも関わらず眠気がいっさい来ない。でも特になにもすることなんて無いからこの退屈さを紛らわすためにまずは自分から楽しいオーラを出してみようと、意味無くスキップをしたりしていた。暗い夜道なのに。


独り言じゃないです


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