時期外れの百物語



ふふ、誰か入れ替わってる?…残念、みんないるねぇ。でももし誰かが他の人になってたらこの会もお開きだろうから、これで良かったのかな?
それじゃ、僕の話にいかせてもらうね。あんまり怖くはないかもだけど、本当にあった話だよ。


えっと、たしか1900年頃のことだったかな。僕の家に、ある雑貨商がいたんだ。彼は当時まだ珍しかった 蓄音機とレコードでお金を稼いでたんだけど、イギリス君ところのオペラ歌手のレコードを作ってね、これが大ヒットしたんだ。
それで、彼は商売を拡大するために 録音スタジオとレコードのテスト生産設備をつくったんだ。これでもっとお金が稼げるぞーって思ってたんだけど、ある日、彼は惨殺死体になっちゃっててね。警察の調査も行き詰まりで事件は結局迷宮入り。彼の録音スタジオで録音された原盤やテストプレスされたレコードも持ち去られてて、行方不明になってたんだ。

それから何年もたったうちの革命前夜のある日、コレクターだったある男がね、不思議なプライベート盤のレコードを手に入れたって友人たちに話していたんだ。でも、その直後に彼はすごーくひどい状態で急死しちゃったんだ。詳しく聞きたい?…ふふ、顔色悪いね。じゃあやめておこうかな。
えっと、革命の混乱もあって死因とか彼が入手したレコードの正体はわからなかったんだよね。

それから1930年代の中頃、これアメリカ君も知ってるんじゃない?鉄工業をしてた男が、判読が難しいロシア語の手書きレーベルの古いレコードを手に入れたってコレクター仲間に報告して、前と一緒、直後に事故で亡くなってるってやつ。

今度は日本君が知ってるかな?1920年くらいに古レコード屋に手書きの不明なロシア語のレーベルのレコードが出たということをレコード評論家の人がエッセイに書いてたの。これも直後に震災が起きてひどいことになっちゃってるんだよね。

災いばっかり持ってくるこのレコード、死んだ雑貨屋のじゃないかって言われてて、いろんな場所でロシア語の手書きレーベルのレコードが出たって話があるんだけど、その録音された内容がどんなものかっていうのはだぁれも知らないんだよね。僕が知ってたら教えてあげられたんだけど…。

あ、もうそろそろ時間かな?そうだ、そのレコード、見つけたら教えてね。みんなで観賞会でもしようよ。…どうなるかなんて、知らないけどね。それじゃあ、僕の話はこのくらいにしておくね。ふふっ。

ロシア『レコード』
次回フランス





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