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 甘えてもいいよ


「アリババくん?」

「なまえさん!?どうして…」


とある日の夜、散歩から帰る途中道端に転がっているアリババくんを見つけた。私を見た途端目を擦って立ち上がる


「シャルルカンさんは中?」

「はい、師匠は中でお酒飲んでます」

「じゃあアリババくんは私とデートしよっか」

「へ!?」


なまえに腕を掴まれ連れてこられたのは、なまえの部屋。なまえは魔法道具のスイッチを押す。すると部屋の中はパッと昼間のように明るくなった


「そこ座ってていいよー」

「は、はい」


アリババは緊張しているらしくそわそわと落ち着かない様子でソファーに腰を下ろした


「お酒は飲む?」

「あ、じゃあ少し…」

「ちょ、アリババくん緊張し過ぎ!取って食ったりしないから!」


ケラケラと笑いながらお酒を注ぐなまえ。それをアリババへと渡してなまえも隣に腰を下ろす


「んで?私の可愛いアリババくんは何で泣いてたのかな?」

「え…えっと…実は…」


アリババは自分の心の内をなまえに話した。アラジンが1人で旅に出ると言い出したこと、それに対して自分の思ったことを


「なるほどね…」

「今まで一緒に旅してきたのに〜!」


うう…と泣きながら話すアリババくんの目元を優しく拭いてあげるなまえ


「アラジンはアラジンでさ、たくさん悩んだんだと思うよ?でもきっとアラジンはアリババくんを信じているからこそ、その決断をしたんだと思う。アリババくんなら自分の道を自分で切り開いていけるって、そう信じてるからアラジンもそんなこと言ったんだよ」

「なまえさん…」

「アリババくんはアリババくんで自分のやるべきことを見つけて、前に進むんだよ。疲れたら途中で休んでもいい、誰かに頼ってもいい、ちゃんと前に進めるのならそれでいいんだよ。アリババくんならシンさんに負けないような、皆に希望を与えられる王様になれるって私も信じてるからさ!」

「ッなまえさ〜〜ん!!」


ダバッと大量の涙を流すアリババくん、なまえはアリババくんの頭を包み込むように抱きしめる


「ほらほら、あんまり泣かないの!今日はたくさん甘やかしてあげるから!」


胸の中でグズグズと泣いているアリババくんの頭を撫でる。何だか大きな息子をもった気分だ


「なまえさん…俺…俺なまえさんに守ってもらうばっかりじゃなくてなまえさんも守れるように強くなります!」

「うん!期待してるぞアリババくん!」

「はい!」


背中に回る手にギュッと力がこもった。なまえは微笑ましそうにアリババを見つめる


「ッ…そろそろ戻りますね、俺」

「えー?泊まっていかないの?」

「え!?いやでもあの…」

「シャルルカンさんやマスルールさんもたまに泊まってるし王様なんてしょっちゅう忍び込んでくるから大丈夫だよ!」

「じゃあ…今日だけ…」

「うん、あ、湯浴みはする?」

「は、はい…」


アリババをなまえがシンドバッドに頼んで部屋に作ってもらった風呂場に案内する。そして待つこと30分、真っ赤になったアリババくんが上がってきた


「真っ赤だけど大丈夫!?のぼせた??」


冷たい水をアリババに渡し、先に寝ててもいいからねーっと声をかけなまえも浴室へと姿を消す。なまえは魔法を使って全身を洗い、髪の毛を乾かしてから部屋へと戻る。アリババくんはソファーに座ってウトウトしていた


「先に寝ててもいいって言ったのにー」

「いえ、俺がなまえさんを待ってたかったんで」

「グハッ」

「なまえさん!?」


ふにゃりと笑うアリババくんにノッカーウ
天使だ天使がいたぞ


「何でもない!寝ようかアリババくん」

「は、はい」


明かりを消して2人で布団へと入る。何故かアリババくんはものすごいベッドの端に寄っている。落ちるぞ


「アリババくんよ、近う寄れ」

「へ?!いや俺はここで大丈夫なんで!」


そこを頑として動こうとしないアリババになまえは痺れを切らしてグイッと無理矢理こちらに寄せる。そしてそのまま、またアリババくんの頭を抱え眠りの体制に入る


「なまえさんまさかこのまま寝たりは…」

「おやすみなさい」

「え?嘘!?なまえさん!?」

「…」


何を言っても返事をしてくれないなまえ。それに加え離れようとしても離してくれないのでアリババも観念して眠ろうとする


「…(寝れる訳がねぇッ!!俺は今なまえさんの胸の中にいる訳で、脚も絡められてる訳で、柔らかくてすごくいい匂いがする。くそっこれじゃあ生殺しですよなまえさん)」


呑気な顔して眠るなまえにアリババは必死で自分の理性を保っていた


「…(にしてもこんなに小さな身体に色んなところで守られたんだよな…なまえさん…俺があなたを守れるくらい強くなったらあなたは…俺の………)」


いつの間にかやってきていた睡魔によって、アリババの頭の中は全て黒く塗り潰されたのだった…。









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