寝ていただけなのに
「名字!」
「…」
「名字なまえ!」
「ハッ!」
「おはよう、気持ちよさそうに寝てたなー?」
「羽柴ちゃん!許して!5時間目は眠いのよ、魔の時間だよ」
居眠りをしていた私の頭を上から押さえつけてぐりぐりする、今は数学の授業中で担当は担任でもある羽柴ちゃんだ
「名字、おまえいくらテストの点数良くても授業態度悪かったら平常点ごっそりとるからな」
「あああごめんなさい!それだけはどうか御勘弁を!」
「じゃあ放課後、全員の数学のノートと問題集を集めて、資料室に置いといてくれ」
「えー自分でやれよ」
「平常点いらないんだな」
「はい!わかりましたよ!やらせていただきます!」
なまえがそう言うと、よろしくなとニッコリ笑ってから授業を再会させる。なんだあの胡散臭い笑顔は、真っ黒だな羽柴ちゃん
「田中ー手伝えよー」
「それが人に物を頼む態度か、てか俺部活だし顧問に呼ばれてるから無理。頑張ってー」
他の友達も部活で手伝ってもらえなかったので、しょうがなく1人で持って行くことにした。クラス全員分のノートと問題集はすごく重い。てかさ前が見にくい
羽柴ちゃんまじ鬼畜
廊下をフラフラしながら進んでいると、ふと持っている3分の2のノートや問題集が消えた。そして隣を見ると
「誰かと思えば、やはりなまえか」
「東堂!」
「なまえは数学係か何かにでもなったのか?」
「いや、数学の授業中寝ててそのペナルティー的な?酷くない?寝てただけなのに」
「いやそれはなまえが悪い」
「でもこの量を女の子に運ばせるのは鬼畜過ぎだ…」
「だからこうして手伝ってやっているだろう?」
「うん、ありが東堂尽八!」
「くっつけるな!」
「あ、東堂ついたよー」
私は資料室の扉を開け先に東堂を入れてやる。たくさん持ってくれてるからね
「東堂本当にありがとうね!助かった!」
「何、困っている女子がいるなら、手を貸すのは当たり前のことだ!」
「やばい、今だけ東堂がイケメンに見える」
「俺は24時間、いつでもイケメンだぞ?」
「あ、気のせいだった。てか東堂は何であそこにいたの?部活は?」
「俺は日直だったのでな、日誌を提出した帰りだったのだ」
「へー、もう1人の日直は?」
「具合が悪くなったとかで4限目が終わって早退してしまったよ」
「風邪かな?何か最近流行ってるよね、私のクラスも今2人ぐらい休んでるし」
「そうなのか?まぁ山神は風邪などには負けぬがな!」
わっはっはっと笑う東堂が何だか面白くてなまえはぷっと吹き出す。何がおかしいのだ!と東堂はなまえにつっかかるがなまえは笑い続ける
「東堂ー」
「何だ?」
「もし東堂が風邪ひいて寝込んだら、このお礼に私が看病してあげるね」
「ふんっ、山神は風邪なんてひかないぞ!だからお礼は他の事でするんだな!」
「もしだよもし!あー何か働いたらまた眠くなってきた」
「こら!立ったまま寝るね!」
「東堂おぶってよー」
「それは無理な相談だな!なまえ何かを背負ったら俺の脚が砕けてしまう!そしたら自転車にも乗れなくなるからな!」
「それは私が重いって言いたいんだな?喧嘩なら買うよ?」
「何、ちょっとした冗談だ!だからその手に持っているシャーペンをしまってくれ!」
「じゃあ早くおぶって」
「む、仕方がないな」
そう言って東堂は立ち止まり、私が乗りやすいように屈む。私はよいしょと東堂の背中に乗る。放課後ということで校内にはほとんど生徒は残っていない
「おやすみ」
「待て!本当に寝るのか!?」
「…」
「…なまえ柔らかいな」
「カチューシャ折るよ?」
「やはり狸寝入りか、あとカチューシャを押さえつけないでくれ、トゲトゲが刺さるいたた」
「本当に寝るからね、おやすみ」
「何て勝手な奴だ…」
「…」
「なまえ?」
「…」
「…○太顔負けの寝る早さだな」
このあと東堂はなまえを部室まで何とか連れて行き、他の部員、特に新開にからかわれたのは言うまでもない
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