まさか、ずっとやっていたのか
「お疲れ様でーす」
「お疲れ〜」
部活が終わり帰り支度を済ませた部員達は次々と部室を出て行く。そして少しの間残ってミーティングをしていた福富達でさえ帰っていった中、部室で一人黙々と掃除をしたり記録をつけたりしているなまえ
明日は部活が休みなので、今日のうちに色々と仕事を終わらせたいようだ。
掃除の方は荒北達が手伝ってくれたおかげでほとんど終わっていた。あとは、もうすぐ洗濯が終わるタオルを干して帰るだけ
なまえは今日の皆の記録をまとめたノートを机の上に重ね、部活着から制服に着替える
普段は別の場所で着替えるが、今は誰もいないのでその場で着替えを始めるなまえ
と、その時
ガチャっと扉が開く音に視線をそちらに向ければ、結構前に下校したはずの黒田が真っ赤な顔で立っていた
「あの…忘れ物取りに来たんすけど…すみませんッ!」
バタンッと勢いよく扉を閉めて出て行った黒田。なまえはパパッと着替えを済ませて黒田を部室に入れてやる
「すみませんでした…」
「全然気にしてないよ!」
「ありがとうございます」
「お〜、ところで忘れ物って?」
「今日出された課題のプリントっス、明日提出なんで取りに来たんですよ」
「それはご苦労様ですな」
「部室の電気まだついてたんで誰かいるなとは思いましたけど…#name1先輩とは思いませんでした」
先ほどの私の姿を思い出したのか、軽く顔を赤くしている黒田くんが可愛くて脳内鼻血
「てか、ずっとやってたんすか?これ」
黒田が机の上に積み上げられていたノートを手にとって中を見る。そこには部員一人一人の癖や、トレーニングの仕方、ドリンクの好みなどが書いてあった
「よく見てるんスね」
「マネージャーだからさ!これぐらい当然!」
「でもこんな遅くまで残ってたら帰り危ないですよ、外も暗いですし」
「心配してくれるのか、黒田くんいい子!」
くっと腕を目に当て泣き真似をしていると、洗濯が終わったので、タオルを素早く干していくなまえ。黒田がタオルを干すのを手伝ってくれたので、またもやなまえはええ子やぁと黒田の頭を撫でてあげた
子供扱いしないで下さいとムスッとしている黒田くんもぎゃんかわ
「よーし!終わった!手伝ってくれてありがとね〜」
「いえ…こちらこそいつもありがとうございます」
「うわあああ黒田くんがデレた可愛いいい!」
「は!?え!?ちょ、ちょっと!くっつかないで下さいよ!(なまえ先輩小さい柔らかいいい匂い耐えろ俺!)」
「んじゃ!黒田くんも充電したことだし帰りますか!また明日ね!」
「もう遅いんで送って行きますよ」
「いやいやいや!いいよ!黒田くんに何かあった方が困るし」
「早く行きますよ」
黒田はロードバイクを手押しでどんどん進んで行く。なまえは今日は徒歩で来ていたので、黒田の隣に駆け寄って並んで歩く。そしてさりげなく車道側を歩く黒田
「黒田くんが紳士で困るわー」
「あの…なまえ先輩」
「ん?」
「俺のこと、名前で呼んでくれませんか?」
首を傾げながら恐る恐る言う
子犬のような黒田になまえはノッカーウ
「雪成!」
「はい!」
「雪成雪成雪成!」
たくさん名前を呼んであげれば照れ笑いで返事をする雪成。何なの天使なの?お待ち帰りでお願いします
prev|next