お隣さんの彼とは
「おはよー」
「おはよーって何食ってんねん」
「パン」
「お前はどこぞの少女漫画の主人公か」
「残念ながら曲がり角でぶつかったのは、担任のさぶちゃんでした」
「どんなオチやねん、おもんな」
「今日も玲ちゃん元気だねー」
「あ、そういえば今日部活休みやから一緒帰れるで」
「わーい!やったー!食べ歩きに行こう」
私は放課後に食べ歩きの旅をすることが日課です!大阪来てよかったと思ったことは、美味しい食べ物がたくさんあるとこだよね。
部活?何か色々な部活に助っ人として入ってたら特定の部活には入らなくてもいいと言われた、いえあ!
「なまえ、あんたホンマによう食べるな、そのちっこい体のどこに入っとるん?太るで?」
「大丈夫!栄養は全て胸に行くから!」
「あんたは胸にしか栄養行っとらんから、頭の中からっぽなんやな」
「玲ちゃんひでぇ…玲ちゃんだって頭にしか栄養行ってないからそんないだッ!」
「私は体が父親に似ただけや」
「えー…」
玲ちゃんは四天に来てから初めてできた友達で、色々と困っていた私を助けてくれた。ちょっと…いやかなり毒舌だけど私の面倒を見てくれるとっても優しい子!今では私の保護者です!玲ちゃん乙!
「あんた頭悪いけど、見た目と運動神経だけはええんやからもうちょっと何とか…」
「ふぉ?」
「何もないわ…」
口いっぱいにお菓子を頬張るなまえを見て、玲はもうちょっとどうにかならないものかとため息をついた。
「次の授業なんだっけ?」
「あんたの大嫌いな古典」
「嫌い過ぎて忘れてた、持ってきてないよ教科書」
「は?何しとんねん、今日隣のクラス古典ないし、借りに行くのは無理やな」
借りに行ってたら授業に間に合わないしね、それならば
「玲ちゃん貸して」
「アホか、私が忘れたことになるやろ、しょうがないから隣に見せてもらい」
「了解した!あれ?村田くんいないよ?」
「今日風邪で休みや」
「詰んだ」
「何でやねん、右隣はおるやろ」
「…でも私財前くんと話したことないよ」
「そらよかったな、この機会にお話できるで。あのテニス部と」
「やだ、何かその含んであるものが怖い」
「でもそれ以外にどうしようもないやろ?じゃ」
と言いながら玲ちゃんは自分の席へと戻っていった。くっ財前くんってちょっと怖いんだよ、めっちゃピアスあいてるし(関係ない)
「財前くん」
「…なんや?」
「教科書見せてください」
「ぷっ…あんた教科書見してもらう為だけに、何で土下座してんねん」
あ、笑った。はじめて見たよ財前くんの笑顔。私の華麗な土下座が決まったおかげで無事に教科書は見せてもらえました。
机をガタガタとくっつけ、そのことで先生につっこまれたが今回は許してもらえた。女の子達の視線は痛いがな
授業が始まればみんな前を向くので問題はない、私1番後ろの席でよかった。
ていうかね!近い!意外と机くっつけると近いんだね!財前くんすごく綺麗な顔してるし、お肌すべすべそう、流石女子からきゃーきゃー言われてるだけのことはあるね!
「…あんたさっきから見すぎ、ウザい」
「あ!ごめんね!財前くんがあまりにも綺麗な顔してるから、お肌すべすべだよね、女装とか似合いそう」
あ、何か変なこと言ってしまった。ほら、すごく変なものを見るような目で見られてる、やめて!そんな目で見ないで!
「あんた変ってよう言われへん?」
「言われます…あ、私名字なまえです」
「そんなん知っとるわ、クラスメイトやろ」
「あはは、ですよねー財前くんってクラスメイトの名前とか覚えてなさそう」
「あんまり覚えとらんけど、あんた結構目立っとるから」
「え?目立ってる?あとから呼び出されるかも、あんた調子に乗り過ぎーみたいな?怖い怖い」
「別に悪目立ちしとる訳やないし、大丈夫やろ」
「ならいいや!あ、先生財前くんのこと睨んでるよ」
「睨まれとるのは俺やなくて名字や」
「あんなに見つめられたら穴があいちゃうよ」
先生の熱い視線を無視して、私はこっそりと携帯を取り出した。兄2号からメールが来ている。兄はゲーマーだ、それもプロの。大学の講義以外は家に引きこもってずっとゲームをしている為、色が白く儚げな美青年に育っている模様。
まー私も兄につき合わされて、徹夜でゲームしたこととかあるよ。そのおかげで、色んなゲームの大会で準優勝したことがある。あまり嬉しくない
ちなみに優勝は兄です。
そして何やら先ほどから熱い視線が、また先生か?と顔をあげてみれば財前君がこっちをジーと見ていた。え?何?
「…あんた」
「ん?」
「はい、今日はここまでなー」
先生タイミング悪いな、まぁ委員長の素敵な号令で大嫌いな古典が終わったからよかったけどね!私はガタガタ机を離す。そういえばさっき財前君何が言いたかったんだろう?
prev next
back