「幸村くん!」
「何?」
「幸村くん今日もかっこいいね!」
「ありがとう」
廊下であった幸村くんに飛びつき、いつもの如く猛アタックしてみるも、全て流されてしまう。どうしたら本気って受け取ってもらえるのかなー
「どう思う仁王くん?」
「そうじゃのー諦めるしかないんじゃなか?」
「それは嫌だよ!こんなに好きなのに!」
「そもそも何でなまえはそんなに幸村が好きなんじゃ?」
「え?んーとー、前帰るときに雨降っててね、私その日傘忘れて困ってたんだ。日直で残ってたから友達も先に帰っちゃってたし!そのときに傘に入れてくれて家まで送ってくれたのが幸村くんだったんだ!」
「王道じゃな」
「いやでもその時はまだいい人だなーってしか思ってなかったんだけど、花壇の世話してる幸村くんがすごく素敵だったから。みんなああ言うのって面倒くさくてサボったりするでしょ?でも幸村くんは楽しそうにちゃんとお世話してたから偉いなーって…それからかな?好きになっていったのは」
「なるほどのう、なまえちゃんは健気じゃな」
わしゃわしゃと私の頭を撫でる仁王、やめてよーっと頭をガードしていると大好きなあの人の声
「随分仁王と仲がいいみたいだね」
「あ!幸村くん!」
「幸村が俺の教室にくるなんて珍しいのう」
「てか幸村くんいつからいたの?」
「どう思う仁王くん?からかな」
「つまり最初から!?うわっどうしよう…話聞いてたよね?」
「うん」
なまえの顔には一気に血が集まり今にもボンッと爆発しそうな勢いだ。あまりの恥ずかしさになまえは仁王の背中に隠れる
「なまえ、何で隠れるの?」
「気にしないでください、忘れてください」
「それは無理かな、それに俺は何とも思ってないような子を傘に入れて家まで送ってあげたりするほど優しくはないよ」
「え?それってどういう…」
「さあ?あとは自分で考えてね」
いつものようにニッコリと綺麗な笑みを浮かべ自分の教室に帰って行った幸村くん。え?何どいうこと?
「仁王くん」
「何じゃ?」
「これは期待してもいいってことですか?」
「プリッ」
次の授業が終わり、なまえが幸村の元へ飛んでいったのは言うまでもない
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