「ねえクロイ」
「‥」
「ねえクロちゃん?」
「クロちゃんて呼ぶな!」
「あ、怒った。ていうかクロちゃん、なんで一回目で返事しないのかな?」
事の発端は俺が一度返事をシカトしたこと。今思えば意地なんか張らなきゃ良かったと思った。
「クロちゃんさぁ、ちゃんと自分の立場分かってる訳?」
「は、シオンは只の兄貴じゃんか」
「分かってないねぇ、そういう子にはちゃんと躾、しなきゃだね」
「は、なに、なにすんだ触んな馬鹿!!!!!」
そして今に至る。手足を縛られベッドにくくりつけられてる。身動きは取れない。
そんでこれだ。
「あっちょ、や、め」
「クロちゃんが悪いんだよねー?」
「ちがっやっ」
「ごめんなさいは?」
「ごめ、なっあはははははは、ちょっ、いえなっはははやめっはははははは」
くすぐり地獄。羽ペンとかなんかよくわかんないものまで出してくすぐられる。ほんと勘弁してほしい。
「あははははははほんと、もっははははははちょっやめっ」
「クロちゃんが悪いんだよー?返事しないから」
「はははわかっ、た、はっから、はははははもっ」
シオンの手がピタッと止まった。
「ちゃんと自分の立場、分かった?」
「分かった分かった分かった、分かったから止めてくれ」
「しょうがないな、今回はじゃあ許してあげる」
口の端を上げて満面の笑み。正直自分の立場なんかわかりたくなかったが今はこうする他手段がない。
「あ、クロイ、」
シオンはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、
「次逆らったらくすぐりなんかじゃ済まないから覚悟しとけよ」
とりあえずこれからの未来を本気で心配した。
優位
(君には絶対逆らえないよ!)
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20110319