from two second to four forth | ナノ


from two second to four fourth


――やっぱりあたしは電車苦手だなぁ…

一方こちらは任務に向かっているルーラ。

――毎回毎回、何でこんなに空気が重いの、誰か喋れよ。

無理な事を思っている。
怒られてぐタっとしているラビと、必要なこと以外喋りそうにないブックマンと同じ個室にいる。

窓際に手を突き、外を見る。
前回の任務地に近かった黒海が見える。
トルコを通ってエジプトに行く進路だった。
じっとそちらを見ていると不意にブックマンが話しかけてきた。

「どうしたんじゃ、ルーラ嬢」
「え、何でも…」
「そういえば、ルーラの前の任務ってこの辺だったさ」

ラビも会話に入って来る。

「…この前はあたしの所為で人が殺されたんだ」
「そりゃ仕方ないさ、戦争なんだから」
「仕方ない? 仕方ないわけないだろ。
 一つの命すら守れなくて何が世界を守る、だ」

ちらっとルーラの頭に家族の顔が過る。

「だから…あたしは強くなりたい、そう思っただけだ」

――本当にそれだけだろうか。

「どうしたら強くなれるんじゃろうな」
「共鳴率を上げるとか…
 ルーラには師匠いるんさ?」
「ティエドール元帥だけど」
「元帥はなかなか教団に帰ってこんぞ」
「でも、誰かに教えて貰えばてっとり早いさ」

――誰かに教えて貰う?

「そう易々(やすやす)と幻術を教えられる者などおるわけなかろう、この馬鹿弟子め」

――…いや、いる。

「ありがとう、ブックマン、ラビ」
「「?」」
「お陰であたしの師匠が見つかった!!!」

ブックマンとラビはどういうことか解らなくて、顔を見合わせた。

「師匠が見つかったってどういう意味さ?」
「そういう意味なんだけど」

サァァァァをいつの間にか雨が降り始めていた。

「よかったな、ルーラ嬢」
「流石ブックマン。深入りしない所がどっかの兎とは大違いだな」
「あたりまえじゃ。
 (あのダルティック家ならありゆる)」
「(…傷つくさ)」

密かに傷つくどっかの兎。




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電車を降りたのはエジプトのカイロ。
ここからは歩きだ。
砂漠だからラクダを使いたいのだが、雨が降り続いて、ラクダの足が取られる心配があるのだ。

「…本当にエジプトに雨が降ってる……」

ルーラは駅を出て、空を見上げる。
どんよりとした雲で覆われている。

「エジプトでこんなに雨が降った事は歴史上ない」
「怪奇現象さ…」

ブックマンとラビも空を仰ぐ。

「それでどうするんだ?」
「何をじゃ?」
「歩いて行くんだろ、傘を買ってこようか」
「いや、よい」
「その為にオレがいるんさ」
「ああ、ラビをぱしr「違うさ」 じゃあ何故?」
「まあ見てなって。
 イノセンス第二解放!」

ラビがイノセンスを巨大化させ、第二解放させる。
すると、ラビを中心にたくさんの、中に漢字がある丸が現れる。
彼はその中の一つの木判を叩く。

「天地盤回、木判!!!!!」

地面に叩きつけると、そこから天に向かって光が放たれる。
雲がなくなっていった。

「これで一時的だけど雨を防げるさ」
「おおー」

パラパラと心のない拍手を送るルーラ。

「さて、行くぞ」



2010.3.22./12.3.27.


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