D.gray-man Novel | ナノ



D-gray.man


走るななことオレ。
二人とも怪我を負い、いつもの早さでも走れていない。

「か…神田、AKUMAが…」

そう、オレ達はAKUMAから逃げている。
イノセンスが使えない状態になり、格好の獲物状態。
AKUMA共に追われるのは無理はない。

「喋るより、走れ…!」

ドンドンドンとキャノン砲は2人の足元に埋まる。
その中の一つがななこの足に当たった。

「キャッ…!!」

ズザザザとななこはこける。

「ななこっ!」

オレは振り返り、ななこの元に駆け寄る。

「大丈夫か」
「う…大丈夫に見える? アハハ」

小さく笑うが、顔は青い。
そして、ペンタクルが現れる。

「ななこ…!!!!!」

体を支える。
AKUMAのキャノン砲が辺りに当たっているが、気にしない。

「かん…だ、もうあたし駄目みたい」

ペンタクルが広がる。

「ねぇ、最期の頼み、聞いてくれる?」

そんな顔、するなよ。

「最期なんかにしねぇよ。
 諦めるな」
「逃げて、最期、だか…」

唇を重ねる。

「お前を置いて逃げれるかよ…!!」
「なか、ないでよ。
 ほ、らお願い、早くして」

さらに広がるペンタクル。
オレはそれを見つめるしか出来ない。

「…好きだった」
「フ…私、も」

ななこを見て、出来る限り微笑み、その場を後にした。
背中には途中まで視線があったが、彼女は砂へと化してしまった。




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窓の外を見た。
曇天の雨雲は今もやみそうにない。

やっぱりオレは――――


regret
(やっぱりオレは「後悔」ばかりなんだ)



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