D.gray-man Novel | ナノ



D-gray.man


宿から出る。
ふと足元を見ると雪が積もっていた。

「わ! 雪じゃん♪」

ななこは道に自分の足跡をつける。
ななこのマフラーが揺れる。

「ななこ〜」

続いてラビが宿から出てくる。

「うお! 雪じゃん!!」

若干ななこと同じ反応だった。


「ラビは雪合戦とかしたくない?」
「ん? 教団のみんなとならいいさ〜
 ヘブッ」

ラビに雪玉が投げられる。

「雪合戦したいんだよねー♪」

先に宿から出ていたななこは雪玉を作っていたみたいだ。

「やったなー!」

ラビも足元の雪を丸める。

そして投げるが、神の使徒・エクソシストであるななこには到底当たらない。

「当たるわけないじゃない!」

ななこは笑いながら、連続して投げるラビの玉を軽々と避ける。
その合間を縫って、ななこは雪玉を作る。

一度に4つの雪玉をラビに投げる。

「ぅおっ!!?」

ラビは間髪いれずに避ける。
が。
それよりも大きい雪玉を投げてくるななこ。
小さい雪玉に目が行っている内に、大きい雪玉で仕留める、そういう作戦らしい。
見事にラビは引っかかり、顔は雪だらけになってしまった。

「あっちゃー…」

――やり過ぎた(笑

反省の色がないななこ。

「何してくれてんさ、ななこ!!!」

雪まみれの顔で怒られても迫力が全くない、と思うななこ。

「ごめんねー」

やっぱり反省の色が見られないななこ。



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「だぁかぁらぁー、ごめんってば!」

2人歩きながらななこは謝る。
もちろん、大雪玉を当てたラビにだ。

「へくっしゅっ」

ラビがくしゃみをした。
きっと濡れているマフラーのまま、顔のまま寒いこの道を歩いているから風邪をひいたのであろう。

「大丈夫?」

やっと真剣みを帯びてきた目でななこはラビを見る。
鼻が寒い為か赤くなっているラビ。
変わらず赤い髪のラビ。

「…大丈夫さ」
「うん、よかった…」


少し経って、在らぬ方向を向いてななこが言った。

「ねぇ、寒くない?」
「ん? 少し寒さー
  ま、雪降ってるから当たり前か」

先程よりは機嫌がよくなっているらしいラビ。
先程よりは顔が赤くなっているななこ。

「雪って不思議だよね」
「どういう意味さ?」
「喧嘩も温かさも寒さも、色々な物くれるじゃない」
「…多分そんなこと言うのは世界でななこだけさ」
「え、嘘… 皆そう思ってると…」
「そんな訳ないさ」
「ムムム…」

どっかの蒼いおしゃぶりを持った赤ん坊か!
そんなつっこみは置いといて、ななこは考え出した。

「寒い…」

マフラーに顔をうずめながらチラとななこは見る。

「寒いよね、ラビ!!!」
「(え、強制?)
 そうさねー…(汗)」
「はい、これ…」

その小さな手でななこの着けているマフラーをラビの首に回す。
ラビの着けていた濡れたマフラーを取って。


「これで…寒くないよね」

真っ赤に顔を染め、ななこは言った。





二人の影が繋がった。
彼らを冷やしたと思っていた雪は、冷やすだけでなく顔まで赤くさせた。




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