Ears | ナノ


Ears


並中1年A組の教室ではテストが返されていた。
教卓の前に立っているのは、獄寺君。
眉間に皺寄せすぎでしょ。目、疲れない?

先生「獄寺隼人君。
  今回の数学のテスト、100点」
一同「「「おぉ〜」」」

席が前だから、先生の声と口の動きから獄寺君が褒められてることが解った。
…勉強できたんだ。意外。

先生「そして… 勉強もしていないだろうに小牧月空さん、100点だ。おめでとう」

さらに歓声が起こる。
え、本当?
一問ほど'どれにしようかな'で選んだんだけど…


ツ「凄いよ、獄寺君!」

沢田君が獄寺君に話しかけてる。
十代目だっけ?
偉そうには見えないなぁ。。

獄「いやぁ〜 これくらいちょろいっすよ」

笑って獄寺君は嬉しそうな顔をする。
そんな顔できるの!!!?(失礼)

ツ「月空ちゃんも流石だね!」

私も?

月空『そんなことないよ、前の学校ではここやってたし』

温かいものを感じる。
…気にかけてくれるなんて嬉しいわ。

先生「沢田綱吉、山本武」

沢田君が呼ばれる。
後ろで沢田君が立ち、山本君とやらも平気そうな顔で立ち上がる。

先生「20点、落第点だった君たちには特別に宿題を与えます」

義務教育なのに落第ってあるのかしら…
え、待って。20点?

恥ずかしそうに俯いている沢田君。
やっぱり山本君は平気そうに笑っている。
…只者じゃないわね!!

先生「提出は明日。全部正解してないと落第だからな」

先生、義務教育だから落第とかないと思います。




-------------




授業が終わり、鞄の準備をしていた。
落第って…脅しよね、きっと。

リ「ちゃおッス」

いつの間にかリボーン君が机の上に立っていた。
土足で。

月空『こんにちは、リボーン君。土足はちょっと…』
リ「折り入って月空に頼みがあるんだ」

土足の件は無視なのね。解ったわ。

リ「知っての通り、ツナに課題が出されたから、教えてやってほしいんだぞ」

…頼みがあるって言ったよね、強制に近くないですか?

リ「気の所為だぞ」

……へ?

リ「読心術を会得してるんだ。心を読むほうだぞ」
月空『…赤ちゃんなのに?』
リ「オレをただの赤ん坊だと思わないほうがいいぞ」

了解です。
気をつけます、リボーン君。

リ「来てくれるのか?」
月空『もちろん。友達だもん』
リ「(ニヤ)じゃあ、よろしくな」
月空『一回家に帰ってから、お邪魔させてもらうね』
リ「解ったぞ。待ってるからな」

リボーン君が机の中に消えた。
あれ、ウィーンって鳴らなかった?気のせいよね、補聴器の故障!!?

補聴器が故障してるのなら、新しいのに変えなきゃ…
沢田君の家には予備の補聴器つけて行こう……



_________




家に帰って気付いた。

私、沢田君の家知らない!!

どうしようか…
もうリボーン君に行くって言ったし…
勉強しなきゃいけないんだから、沢田君をメールで呼び出すのも悪いし……

携帯が振動する。

画面を見てみると、知らないメアド。
ん?reborn@…?
内容を見ると、
ちゃおッス
オレだぞ、リボーンだぞ
そういえば家を教えてなかったな
マンションの下に降りてこい
そこで待ってる

リボーン君からだった。

何でメアド知ってるんだろう…
マンションの位置も…
いや、私気にしない!!
きっと気にしたら負けルール!!!


マンションの下に行くと、リボーン君が待っていた。

月空『ありがとう』
リ「大丈夫だぞ。こっちが勉強を教えてもらうように頼んだんだからな」

リボーンの先導で沢田宅に向かった。





リ「ほら、あれだぞ」

指を指した先には赤い屋根の一般屋。
玄関の前には怪しげな女の子がいた。
どこかの制服を着ているから、きっと学生だろう。

月空『誰?』
リ「あれはハルだぞ。三浦ハル」

ミウラハル?
名前だけじゃ…
不審者?

リ「どうしたんだ?ハル?」
ハ「ハヒ!!?リボーンちゃん!!?」

元気な女の子だなぁ…

ハ「こちらは?」
月空『初めまして、小牧月空です。
   難聴者だから携帯で会話してます』
ハ「あ、そうなんですか。
  ビューディーガールとリボーンちゃんが歩いてて、驚きました!!
  私は三浦ハルです!」

beauty?
私が?
そんなこと言われて、私が驚いたわ!
そして、あんまり難聴者のことに関しての絡みがなくて驚いた!!

月空『何でハルちゃんは沢田君の家の前にいるの?』
ハ「リボーンちゃんを助けるためです!!」

ごめん、意味が解らないわ。

リ「まあいいぞ、入れ」
月空『じゃあね、ハルちゃん!』

リボーン君が玄関の扉を開け、入るように催促する。
私は軽く一礼して、お邪魔した。
ハルちゃんは玄関前に残ったようだ。
リボーン君はすぐ傍の階段を上るので、ついていく。

リ「ここだぞ」

小さい体で扉を開ける。
凄いね、ジャンプして扉開けるなんて。

礼して部屋に入った。
そこには沢田君と獄寺君と…えっと山本君がいた。

ツ「あ、いらっしゃい。月空ちゃん」
月空『お邪魔します*』
獄「な、小牧」

初めて名前呼んだな、獄寺君。
いっつもあいつとかてめぇだもんね。

山「お、小牧?ツナと仲いいのか?」
月空『うん、友達なの。山本君』
山「!オレの名前覚えてくれてるなんて嬉しいのな!!
  オレは山本武!よろしくな」

はきはき喋ってくれるから、解りやすい。

月空『先生が名前呼んでたから、覚えちゃった』
山「はは、そりゃ先生に感謝しないとな!!」

感謝するところじゃないと思うけどね!
落第しかけの人だとは思わないわ。

リ「それじゃ、月空は山本に、獄寺はツナに勉強を教えろ」
獄「解りました、リボーンさん!!任せて下さい十代目!!!」
ツ「(オレ、月空ちゃんに教えてほしかった…)」
山「よろしくな、小牧」
月空『解りにくかったらごめんね』

勉強会がスタートした。



_______




ほとんどの問題が終わってきた。
私は紙に言葉を書いて、山本君に勉強を教える。
山本君は呑みこみが早く、教えやすかった。

ツ「凄い!」

ツナが山本の手元を見つめる。

山「ん?アハハハハ。
  小牧の説明のお陰だな!!説明解り易いし!!」
月空『そう?ありがとう!』
ツ「(野球が忙しいから、成績が悪いだけで、やればできちゃうんだ…)」
山「つっても、問題7はさっぱり分かんねぇ。
  小牧、これはどうやるんだ?」
月空『…ごめん…解んない……(汗涙)』
獄「アハハハ!まだまだ馬鹿だなぁ、山本ぉ小牧!
  ね、十代目」

今まで活躍してなかった獄寺君が満面の笑みで、嘲笑う。
何よ、きっと獄寺君だって解らないわよ。難しいもん!!!

ツ「オレ、問題7どころか、半分ほど分かんないんですけど…」
獄「あの… 十代目!
  ここはどかーんと問題7解いちゃって、十代目の力を見せましょう!」

ほら、獄寺君ちゃんと教えれてないじゃない!
沢田君の顔見なさいよ。顔に青い縦線が入っているじゃない!!

ツ「一辺11.5cmの正方形の紙100枚を3mの高さから同時に落とした時、全ての紙が寸分違わず重なる事があることを証明せよ」

…うう、やっぱり解らないわ……

ツ「さっぱりわかんねー!!」
獄「じゅぅだいめぇえ!!!!!」

カチャリ
 
ドアが開く。
誰かと思って後ろを振り向く。
ハルちゃんが頭巾を泥棒風に巻いたまま、ジュースを持っていた。

ハ「差し入れでーす」
ツ「え、えーー!!?
  何でお前が?!」
ハ「リボーンちゃんに悪い影響が及ばないよう、監視してるんです」
ツ「…て、それが監視する格好か?」
山「ツナって緑中の生徒と知り合いなんだ」
月空『どこの中学校?』
ツ「超難関の名門女子中?」
山「そのこの制服、そうだろ?」
ハ「うん」

何処かを凝視しているハルちゃんが頷く。
え、超難関の女子中がこの辺にあるの?
転校する時に調べたのに…何で出なかったんだろう……

山「この問題7、この子なら解けるんじゃね?!」
ツ「あ! ああ!!!

確かに!期待持てる!!

ハ「分かりました。 じゃあ、もし私が問題を解いたら、今後一切リボーンちゃんとかかわりを持たないでください」

あ、さっき言ってた、'リボーンちゃんを助けるため'ってやつ?

ツ「…でもそれはリボーンが決めることだし…」

沢田君は大きなストローでジュースを飲むリボーン君を見る。
ごめん、リボーン君、存在に気付かなかった…

獄「ケッ 面白れぇ!
  解けるもんなら、解いてみやがれ!」

獄寺君がハルちゃんに問題を見せる。

『赤の他人が人の人生に口出せるほど偉いわけないじゃない』
私は携帯に文字を打つが、ハルちゃんは見ていなかったようだ。

ハルは構わず問題を見る。

ハ「これなら、私見た事があります!」


_____



ハルは真剣な顔で考え込む。

ハ「あとちょっとです」

――…

そんな意の言葉を何度か発する。
いいのかな、勝手に人の人生をこんな問題で左右させて。。



ハ「ごめんなさーい!

空はもう黒くなっていた。

ハ「できませーん!!」

結局解けなかったようだ。

獄「なぁにが解けるだ、この嘘吐き女ぁ!!
ハ「私!見たって言っただけです!!解けるなんて言ってないもん!!!なのに嘘吐きだなんて」
月空『まぁまぁ…落ち着いて…』
山「泣かしちゃ不味いだろ、泣かしちゃ」

私も山本もこの場の空気を納めようとする。
獄寺君、優しくない!最低!!

ツ「そうだよ、獄寺君」
獄「えっ」

ショックを受けている獄寺君。
もっと言って!沢田君!!

リ「女を大切にするのが一端のマフィアだぞ」

さらにショックを受けた獄寺君は普段なら絶対に取らない行動に出た。

獄「あのー…すまねぇ」

笑顔で、言い出たのだ!!!
私がメールで粗相した時もそうしてくれればよかったのにー!!!


?「君は誰だい♪僕はランボ。
  僕は誰だい♪君はランボ」

窓から牛がらの子供が後ろを向きながら、入ってきた。
ランボ君って言うのかな…?

ラ「ランボさんでしー♪」

ランボ君は様子を見る為、こちらを見た。
獄寺君が睨んでいる。
そりゃ、機嫌悪いでしょうねぇ…

ラ「ひっ」
獄「(こんな時に…空気読めってんだよ!)」
ラ「お、オレっちね、通りがかっただけだよ。
  おぉ!!!?」

ランボ君はテーブルの上のお菓子を見つけた。
何かよくわからない言葉を言いながら、お菓子を食べている。
食べすぎたら駄目よ〜晩御飯食べれないから。

獄「こいつ、もう我慢できねぇ…!!」
月空『落ち着きなよって…』
ハ「きゃぁあああ、また逢えた♪嬉しぃ!!」

ハルちゃん知り合い!!!?
ランボを抱き寄せている。



さらに夜が更け、月が空を明るくさせる。
月空は母に連絡を入れる。
ちょっと遅くなりそうです。
晩御飯は食べていて下さい。
私も家に帰ったら食べます。


それだけ打つと送信した。
心配だけはかけたくないんだけどな…

ハ「そうだ!」

ランボ君は寝ているが、ハルちゃんが何か思いついたようだ。

ハ「中学生の問題です。誰か大人の人に頼めば解るんじゃないでしょうか」

あ、しまった。
一緒に連絡すればよかった…
男3人はおおと歓声を上げる。

ツ「でも誰でもって訳には…」

…誰か、来る?

ハ「心辺りがあります。さっきお台所で一緒してたんですけどー」

そういえば、ハルちゃんってどうやって家に上がったんだろう?

ツ「台所?」
ハ「ビアンキさんって言ってー」
ツ「ビアンキ!?
獄「姉貴!!??

若干沢田君と獄寺君の声が被って聞こえる〜面白ーい
と思った瞬間、瞬時に獄寺君が扉を抑える。
早い、動きが!!
後ろを向くと、ピンクの髪の人がいた。
あの人、京子ちゃんのケーキを変えた人じゃ…?

山「ちーっす」

山本君が警戒もなしに挨拶するので、私も一応会釈をしておく。

獄「勝手に挨拶してんじゃねぇ!!」
ビ「隼人。貴方は姉を異性として意識し過ぎよ」
獄「ち、違ぇって!!!

獄寺君が気合で扉を閉める。

月空『姉弟?仲いいんだね』
山「そうだなっ!」
獄「違う…」

獄寺君はげっそりしている。
姉なんなら入れればいいのに。

ビ「…溶解さくらもち!」

声が聞こえた。

獄「いいかぁ、あいつはなぁ!」

獄寺君の持っているノブが解け始める。
熱くて獄寺君は手を離す。

ビ「どう?ポイズンクッキング、溶解さくらもちの威力は」

ピンクの人(命名=私)が扉を開けて入ってきた。

ツ「…ポイズンクッキングってそんなのもあり?」
月空『面白いお姉さんなんだね』

獄寺君に見せるつもりで、画面を向けたら、彼はお腹を抱え、倒れ込んでいた。
どうしたの?げっそりが祟った?


______



獄寺君はランボ君と一緒のベッドに入り、唸っている。
そして、私たちはピンクの人に問題を見て貰っている。

月空『どうでしょうか…』
ハ「あっ ビアンキさんのこと言ったの私だから、問題解けたら私の勝ちですね♪」

また、ハルちゃん勝手なこと言ってる。
何でこの子はこんなにこだわるのかしら…
リボーン君が視界の隅のほうでパジャマに着替える。

ビ「ふっ」

その自信満々な顔!!
解けたんですか!!!??

山「お!」
ツ「おぉ!」
ビ「そうね。
  こんな物。

  どうでもいいわぁ!!!!

そう言って、ピンクの人はツナの問題用紙を破る。
ええええええええええ!!!!!!!!!???????

ツ「んなー!!!?
山「まぁまぁ」
ビ「愛がないもの」

愛が必要なんですか!!?
ピンクの人はそれを細かく千切りにしている。
ドンマイだ、沢田君。

そして、彼女は部屋を出ていった。
何しに来たのかしら。

ツ「オレの問題用紙ー!」
山「オレの問題用紙があるから」
月空『大丈夫だって』
山「コピーすっからさ」

沢田君を慰めにかかる。

ハ「そうか!お父さんが読んでた本に載ってたんだ、この問題!!」

ハルちゃんが山本の問題用紙から顔を上げる。
沢田君が落ち込んでるのに、問題が優先なのね…ハルちゃん。

一同「「「?」」」



____




まあ20分待った。
ハルちゃんの御父さんが問題用紙を見る。

ハ「私のお父さん、大学の数学教授なんです」
ツ「なら初めから呼んでよ…」
ハ父「…これは君達が解けないのも無理はない。
   超大学級の問題だよ」

…超、大学級。。。

ハ父「答えは証明できない、そんなことはありえないからだ」
ツ「そうなんですか?」

じゃあ何でこんな問題が…

ハ父「大学教授を信用できないかね?」
リ「いや、証明できるぞ」

リボーン君の声だ。
ハンモックで寝ていたのだが、起きたようだ。

リ「初めから紙が糊でついている場合を考えてねぇぞ。
  ボンドぺったんの定理を忘れている」
月空『そんなのあるの?(世界って広いのね…)』
ハ父「!! 私としたことが…」
山ツ「「おおー!!」」
ツ「ていうか、これとんち?」

ハ父「おお!その揉み上げ!! あ、貴方は…」

リボーン君の揉み上げを見る、三浦父。

ハ「お父さん、リボーンちゃん知ってるの?」
ハ父「リボーン?そんな名前ではない。
  彼の名前は、ボリーン!!
  世界の学界に時々現れて、不可能と言われた問題を悉く解いていく。
  天才数学者、ボリーン博士!!!!」

それって凄い人じゃ…!!

ツ「本当か!!?」
リ「スピー」

リボーン君はまた鼻ちょうちんを出し眠りについた。
…赤ちゃんだもんね。

山「寝言だよ」
ツ「え?」
月空『リボーンちゃんはまだ赤ちゃんよ?』
ツ「いや、まあ、そうだけど…」
ハ「それじゃあ、リボーンちゃん。家で暮らしてもらいますね♪」

…!
またそんな勝手な!!

ツ「え、いや、あの!」

また、リボーン君の鼻ちょうちんが割れる。

月空『問題を結局解いたのはリボーンちゃんよ』
リ「この勝負引き分けだな。月空は物分かりがいい」
ハ「んー…」
リ「―――――」

リボーン君が何を言っているのか解らなかった。
でも拒否しているのは解った。

リ「スピー」

またまた寝始めたリボーン君。
ハルちゃんは困惑しているようだ。

そして問題は無事解け、この場はお開きとなった。
思ったんだけど、初めからリボーン君が教えればよかったと思わない?

ツ「月空ちゃん、大丈夫?こんなに遅くまでごめんね?」
月空『大丈夫だと思うよ』
ツ「送って行こうか?」
月空『いいよ、悪いし。また明日ね』
ツ「う、うん!!また明日!!!」

沢田君に見送られ、帰路に着く。
早く帰らないとまた心配かけちゃうな。




______





いつもと同じ時刻に家を出た。
まっすぐ家に向かっていると、橋の上に沢田君と剣道の防具を着た人がいた。
スティック振りまわして、危ない!!

私は走った。
結構距離がある。
沢田君…無事でいて!!

防具を着た人は攻撃をかわされ、スティックの遠心力でぐるぐる回っている。
馬鹿じゃないの!ちょっとは考えなさい!!

あと橋まで5mというところで獄寺君の声を補聴器が拾った。
でも何を言っているか解らない。
気にせず走る。
後、3m。

橋の上で何かが爆発した。

えええ!!!
日本でこういうことってあるの!!?
警察!!お巡りさーん!!!!!!

煙がなくなったところで、橋の上を見てみる。
もう橋に着いた。
ツナ君の姿しかなかった。

山「大丈夫か!」
獄「大丈夫ですか!!?」

山本君と獄寺君と合流した。

ツ「大丈夫じゃないって!!!」

沢田君が橋の手すりに寄りかかり、川の中を指差している。
? あ、もしかして!!

私も川の中を見てみると、防具を着た人がいた。
溺れかけている。
防具が重くて浮かぶことができないんだ!!

防具を着た人のヘルメットが取れる。
ハルちゃん!!?何で!!?

ツ「だ、誰か助けて!!」

沢田君が後ろを振り返り、獄寺君と山本君に助けを求める。
私が一番彼女に近い。距離的に。

月空『携帯持ってて』

私は携帯を沢田君に押し付ける。
そして川に飛び込んだ。

ドボン


冷たい感覚。
手で掻くが水の中を進めない。
手を伸ばした。
防具の感触がある。
力を振り絞り、ハルちゃんを抱える。

月空「大丈夫だから」
ハ「は、ハヒ!!?」

ハルちゃんの防具を外そうとする。
しかし、もがくハルちゃんと、冷えた指では中々紐は解けない。
じっと。してて…!!

ブワッ


空気が口から出る。

月空「あ゛…」

最後に沢田君の声が聞こえたような気がした。





_____





呼ばれている気がする。
でも私の耳は聞こえないもの。
補聴器も壊れただろうし…
ああ、予備だったから、もう補聴器家にないなぁ。
どうしよう。

馬鹿みたい。私なんかに助けられるわけないのに…――――



ツ「月空ちゃん!!」

目が覚めた。
心配そうな沢田君と山本君とハルちゃんの顔が浮かぶ。

ツ「よかった…!!」

安堵の息を漏らす。
ごめん、沢田君。何で夏の親父のような格好なの?

ハ「私たちをツナさんが助けてくれたんですよ!
  月空ちゃんもありがとうです!助けにきてくれて!!」

私が沢田君が?
じゃあ、私の携帯は……

リ「そうだぞ。月空の携帯は見事に故障したぞ」

そ、そんな…

リ「安心しろ。ボンゴレ特注の打った言葉を音声に出来る携帯をやるぞ」

携帯を受け取る。
メニューを開いて、適当に項目を開いていったら、言葉を音声にするプログラムがあった。

月空≪ありがとう、リボーン君≫
リ「ニッ どういたしましてだぞ。
  後、補聴器も新しくしといたからな」
月空≪本当?ありがとう!!何から何まで!!!≫

だから声が聞こえたんだね。
感謝しきれない。

月空≪沢田君も助けてくれてありがとう≫
ツ「え、あ、気にしないで!!オレも月空ちゃんの携帯壊しちゃったし!!」

先程よりも会話がスムーズになる。

山「安心したぜ、小牧。でも、女の子なんだから、無茶すんなよ」
月空≪…ごめんね≫
獄「何溺れかけてるんだよ。十代目が助けて下さったからよかったものを!」
月空≪何もできないのに、川に飛び込んだりしてごめん≫

沢田君が不意に上を向いた。
あ、ここ土手だったんだ。
しかも、寒いと思ったら、服濡れちゃってるや。

ツ「きょ、京子ちゃん!」
花「これ、どういう状況? 月空、大丈夫?」
月空≪あはは…≫
花「ん?新しい携帯?」
月空≪うん。リボーン君にもらった、言葉を音声にできる携帯なの≫
花「あの餓鬼から… よかったわね」
京「朝から水泳?寒くない?」
ツ「え、いや、そ、その… これにはわけが…」

花「もう行きましょ、京子、月空」
京「うん」
月空≪でも…私…≫
花「私の体操服貸してあげるわ、月空」
月空≪ありがとう!!花ちゃん!!≫

私は京子ちゃんと花ちゃんの横を歩く。


また今日も慌ただしい一日が始まりました!!




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管理人から!

この後、夢主は新しい携帯の設定に大忙しだったそうです(笑)


2010.6.20./12.4.29.


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