03:あの日から繰り返し必ず朝が来ているのにね
「ママ!」
五番隊の席官で休憩してる人にひとしきり遊んでもらったのにも関わらず、相変わらず元気いっぱいだ
最近は五番隊に付きっきりで私自身、慣れない事だらけで疲れることが多いが、息子が傍にいることで乗り越えられている
いつもは四番隊に入り浸ってる息子である真生が慣れない環境下に行って大丈夫だろうか、と卯ノ花隊長に相談したら今だからこそ真生が必要なのでは?と言われこうして五番隊に連れて行ってる日々だ
「本当に真生くん、名前さんにそっくりっすね」
101年前から五番隊にいる席官に話しかけられる
「えぇ、そうね」
「ただこの目は、隊長の目ですね」
懐かしそうに目を細めながら見つめる席官に動揺を悟られないようにゆっくり息を吸ってから、そうね、と返す
「まぁ、隊長はもう少し気の抜けた目でしたが、」
こうして最近度々真子の話が彼から語られるようになったのは恐らく藍染元隊長の謀反がきっかけだ
きっと素知らぬ顔していつもの様に帰ってきますよ、と話しかける彼の言葉に思わず鼻の奥がツンとした
「ごめんね、真生帰りが遅くなっちゃって」
もはや疲れ切ってまともに目を開けてない息子に話しかける
「済まないな、」
「浮竹隊長、お疲れ様です」
「雛森副隊長にはまだ早かったか、」
「無理もありませんよ、まだ受け入れるだけの月日が流れてませんし」
「名前は恨んでないのかい?」
「藍染惣右介をですか?」
「……101年前のあの事件の主犯者は今までは浦原喜助と言われてたが、恐らくあれは藍染惣右介を含む3人だろう」
「そうですね、」
事件の当時、私自身がこの事件の全容を受け止めきれずに何度も総隊長を初めとした隊長格に事件の全容を明らかにして欲しいと直談判した
直談判に疲れ切った頃、私は妊娠したことを知った
「正直な話、分からないんです」
とても今、混乱している
「事件の全容を知らされずに、死亡したと聞かされてたので」
気持ち良さそうに寝ている我が子をおんぶするのもだいぶ大変になってきた
お腹にいることが分かってから随分と月日は経ってしまった
「死んだと思い込まないと1人で乗り切れなかった、」
時は残酷だ、
「薄情な女でしょ?ずっとずっと真生を真子の身代わりにして生きてきたのだから」
いや、私自身が1番残酷なのか、と思わず嘲笑いが出てくる
「そんなに自分を責めてはいけないよ、」
「聞いてらっしゃったのです?享楽隊長、」
「きっと、真子くんは君を責めないさ、」
「その様な言い方はおやめ下さい、」
辛くなる、彼がどこかで同じ時を過ごしてたという事実をしることは
「私の決心が揺らぐので、」
あまりにも辛すぎる、彼が私を置いて新しい道を切り開いてるという事実を受け入れることが
私だけが、ずっと時が止まったままということが
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