01:この世の全てが楽しくて切ない昔話みたいね


「皆、揃っとるようじゃの」

あぁ、懐かしいと過去に思いを馳せる

「それではこれより代行の儀を執り行う、」

ここの場所に立って、話を聞いてたのが遠い過去に思える

「四番隊隊長卯ノ花八千流の推薦により同隊第三位の席官を召喚した、」

思えば副隊長を退いてから、もう100年以上経つのか、

「ーーーーーーーーーーここに四番隊第四席苗字名前を五番隊副隊長代行に任ずるものとする」

一斉に自分へと視線が向けられるのが分かる
随分と顔ぶれが変わったものだ、あの頃から同じ顔ぶれと言えば、卯ノ花隊長と享楽隊長と浮竹隊長くらいか、





「しばらくの間頼みしたよ、名前」

「本当に名前ちゃんが引き受けてくれて助かるよ、」

「いえ、勿体ないお言葉です、享楽隊長」

藍染隊長、市丸隊長、東仙隊長の謀反は護廷十三隊に大きな衝撃を与えた
特に、五番隊の雛森副隊長は精神的な問題からしばらくの間、業務が遂行出来ないと言う
その事を診断したのは私であり、かつて七番隊副隊長を務めてたこともあって卯ノ花隊長からこの話を頂いた

この代行の儀式を引き受ける前の隊首会にて、五番隊副隊私から申しあげたこと、それは


「今の私は一人の死神であると同時に母親です、」

隊首会にて総隊長に向かって話すのは緊張する

「藍染、市丸、東仙らと決闘する空座町での戦いには参戦するつもりはございません、」

「な、貴様!自分が何を言ってるのか分かっておるのか!?」

かつては肩を並べて戦ってた遠い存在になった元同僚に向かって冷静に話しかける

「えぇ、かつて七番隊副隊長を退いた私が今、四番隊に所属してるのも1人息子を育て上げるためですから」

総隊長の鋭い視線が突き刺さる

「ご理解くださいな、総隊長、我が息子の父親を切り捨てたのも貴方ですよ」

彼がいたら藍染隊長の謀反を止められたのだろうか、いや賢い彼だからこそ藍染隊長の本質を見抜き傍においてたのかもしれない

狛村隊長を初めとした隊長陣の顔が厳しいのは分かる

「そしてご理解くださいな、母である私が五番隊副隊長の代行を務めあげる1人の女としての覚悟も、死神としての誇りも」

彼が築いた五番隊を守らないといけない、そんな思いが芽生えたのも事実

「もちろん、その頃までに雛森副隊長を空座町の戦いに参戦出来るよう治療も継続して行っていく所存です」

これが五番隊副隊長代行を務め、母としての責務を果たすための条件だった

それにしても厄介なお節介を引き受けたものだ

「卯ノ花隊長、」

「何です、名前?」

「真子は藍染元隊長の本質に気付いてたのかもしれませんね、」

久々に最愛の人の名前を呼ぶ

「えぇ、彼は強いですから」

過去形にしないこの人のこういう所が好きで四番隊に来たのを思い出す

「私、必ず三席に戻りますので席、空けといてくださいね」

無理して笑ってるのに気付いたからだろうか、

「大丈夫ですよ、きっと」

曖昧な表現をするものの、私の1番求めてる事に対する返事をしてくれる優しさが苦しかった

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