08:あなたのいない世界には、わたしもいないの


「名前にしては珍しくやられましたね、」

「斬魄刀がないとは言えども想像より強かったです」

十刃との交戦は、黒崎一護の援軍により何とか命は助かったと
朽木に聞いたが、斬魄刀と虚のお面を持った不思議な出で立ちをしてたという
聞く話によると旅禍の子が寝返ったと、

「寝返らないといけない何かがあったんでしょうね、」

総隊長は頭が固いですから、と言えば卯ノ花隊長に窘められる
何となくだけど、もしかしたら、虚のお面と斬魄刀を持った援軍とは真子なのかな、と思うと何も手が付かない

"なんで私を助けたの?"

こんなこと、誰にも相談できるはずがない
出来るわけないんだ、













「卯ノ花隊長、」

「どうしましたか?名前、」

「私はやはり残ります」

空座町に行けば、もしかしたら何かが分かるかもしれない
ただ、私はもう1人ではないのだ、

「大丈夫ですよ、」

貴方なら大丈夫ですから、と伝えられる

「卯ノ花隊長、虎徹副隊長、ご無事の帰還お待ちしております」

私はいつだって待つことしか出来ない、











ある病室が騒がしい、患者が副隊長となると力づくで押さえつけられないから尚更揉めてるのだろう

「雛森副隊長、」

何をされてるんですか?、と聞けば気まずそうに目線を逸らされる

「総隊長の命より、貴方がこの場から離れないように見張りを四番隊は頼まれました」

四番隊としては貴方を止めないといけません、と言えば雛森副隊長が斬魄刀を強く握るのが分かる

「ただ1つ、副隊長の先輩として言わせてもらうならばいきなさい」

苗字三席!?、とどよめくのがわかる

「貴方が自分を五番隊副隊長と名乗るのならば、貴方の選んだ隊長の行く先を自分で見届けなさい」

責任は私が取ります、と言う

ごめんね、卯ノ花隊長、やっぱり私もケジメを付けないといけない

「私も、ケジメを付けたいの」

雛森副隊長の肩を掴む

「私もね、七番隊副隊長としての幕引きを出来ずにずっと101年間止まってるの、」

雛森副隊長の目から涙が溢れる、

「私もね弱いから、101年前に自分の恋人や隊長、仲間達がね、自分の欲のままに力を欲して虚の力を手に入れて護廷十三隊を追い出された後に死んだ、なんて信じてないの」

こんなに感情を露わにするのは何年ぶりだろう

「いいじゃない、あんたが藍染惣右介の目を覚ますために戦うってことを誰が笑うのよ、あんたが藍染惣右介を見届けなさい、躊躇ってるんじゃないわよ!」

誰に叱咤を飛ばしたのか分からない、これは私自身に言い聞かせてるのかもしれない

「必ず帰ってくるから、」

頼むわよ、と言えば斬魄刀と机の中にずっと入れてた七番隊副官章を渡される

敢えて息子には会わなかった、決心が鈍らないうちに行きたかったから

「真生に伝えて、必ずママは帰ってくるから」



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