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「…あっつ。」
初夏の早朝、冷房も入ってない教室で私はつぶやいた。
なんで日がささないのにこんなに暑いのだろう。風が通らないからかな…。あ、湿気とか?ジメっとするとベトベトして暑く感じる…気がする。
時計を見ると冷房がつく指定の時間までにもう少しかかる時間だった。
こうやって早く来た真面目な生徒のためにも冷暖房をつける時間は早くした方がいいと思うよ。
ねぇ、先生方。暑いです。
…暑い暑いと言ってはいるけど、誰もいない教室は好きだ。
この何とも言えない雰囲気とか、この世界には自分しかいない感じとか…
あれ、なんか厨二っぽい。もう思い出したくないような黒歴史みたいなこと考えちゃった。まあ、今その年齢だけど。
あ、そろそろ友人が来るだろうな。今日日直らしいし。…一人じゃ大変だろうから手伝ってやろうかな。それでジュースでも買ってもらおうかな。
一人でいろいろ考えていると、ガラリと教室のドアを開ける音が響いた。
あ、来たかな。
私はドアの方を向いて挨拶をした。
…が、
「友人、おは…あ?」
「…あぁ?」
違った。男だった。ていうか財前だった。間違えた。ヤバい、恥ずかしい。すごい気まずい。
「何やねんお前。」
スッゴい冷たい目で見られてる。恥ずかしいっていうか気まずいっていうかもう泣きそう。なまえちゃん泣きそうだよばかやろう。
「人違いだった。ごめん。」
悪いの自分だけどさ。確かに間違えたけどさ。だからってそんな目で見ないでよ。
「…別に。」
え、ひどい。別にとかひどい。
ていうかいつもこの時間に来ないでしょこの人。なんでいるの。朝練あるでしょテニス部。いちゃダメとかじゃないけど。
「おっはよーうちの愛するなまえちゃー…!!」
「…あ、友人おは…なんでそんな顔してんの」
人の顔見てそんな顔しやがって。失礼だろ。…確かに変な顔してるかもしれないけどさ。愛するとか言うならそんな顔すんなばか。
「なまえが…なまえが財前に泣かされとる…!?」
「泣いてないよ。」
確かに泣きそうだったけど。だって財前冷たいし。冷たい目で見てくるし。
「ちゃうわ。ちゅーかよく寝坊せんと来れたな、お前。」
「寝坊せんかったんはなまえへの愛や!それよりもお前よくもうちのなまえ泣かせたな、覚悟は出来とるんやろうな…」
「落ち着け、ばか友人。泣いてないしあんたのでもない。」
「泣いてへんの…?…ハッ、もしかして朝っぱらから逢い引き…!?」
「変なこと言うなや。」
なんか変な勘違い始めたぞ。…これ、私のせい?
「…あ、ていうか友人日直でしょ?仕事は?」
「…あ、」
ああ仕事!!とか言ってどっか行った友人。多分職員室行ったんだろうなぁ…。
「何やねんアイツ…」
「…そういえば、なんで財前こんな早くいるの?いつもいないじゃん。」
「俺も日直や。」
…え?日直って…あ、日直って二人か、そういえば。
「…お前アホやろ」
「失礼な。」
なまえちゃん、本日二度目の泣きそうです。
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