先ず、どこから書き始めようか……。
正直なところ、今俺が置かれている状況を上手く説明できるか自信がない。
もともと俺は、自分で言うのも何だがかなり内気な性分で、自分の考えていることを他人に伝えることが苦痛に感じるほど苦手だ。
そのせいでかなりの口下手であり、またかなりの筆無精だ。
今回筆を取ったのだって、世にも奇妙な出来事と題していい程の事件がこの身に降りかかったからであって、そうでもなければこうやって机に大学ノートを広げ、一心に筆を走らせることもなかっただろう。
事実は小説より奇なり、とは全くその通りだ。



さてさて、そして、結局どうしようか……。
やはり最初は自己紹介から始めるのがいいだろうか。

俺の名前は野之川静可(ののかわしずか)。
中学2年生のネクラでコミュ障気味なフォーティーンだ。身長180cm越えしていることが唯一の救いといっても過言ではない。
そして断っておくが、静可という名前に騙されてはいけない。名は体を表すと言うが、この世には例外と言うものが存在するの。

つまり、俺は男だ!

大事なことなのであえてもう一度言おう。
俺は男だ!!

名前が女っぽい件については実の姉とか、姉とか、姉とかに散々からかわれて続けているので触れないでおきたい。

ああ、そうだ。ついでに姉のことも書いておこうと思う。
俺がこの手記を書くきっかけとなった事件には、この姉の存在が大きく関わっている。
関わっているというか、むしろ直接の原因というか、もはやラスボスというか……。

とにかく、俺には1つ上の姉がいる。
名前は野之川征可(ののかわせいか)。
俺の姉にしては身長はあまり高くない。(が、女子にしては普通なのかもしれない。)
そして誰もが認めるひん…微乳だ。しかし、姉曰くこれはステータスだから問題無いそうだ。

そして、姉は漫画やアニメが大好きな人間だ。世間一般的にオタクと呼ばれる人種なのだそうだ。コスプレもするし、話す内容はほとんど漫画のことばかり。おかげで、俺は読んだことすらない漫画のキャラについてかなり詳しくなった。
……なんの役にもたたない知識ばかりで悲しくなる。

ついでに悲しくなると言えば、俺は姉の名前についても少し思うところがある。
姉の名前は前述した通り、征可だ。、…マジ、なんと言うか、……うん、変だ…。
この名前、変だよな?今書いてみて、改めて、凄く思う。 
だが舐めちゃいけないぜ。実物は名前以上に変だ。どれだけ変かと言うと、ボキャブラリーに乏しい俺では容易に表すことができないくらいぶっ飛んで変だ。身内が言うんだから、これはかなりのもんだと思ってくれていい。
まぁ、名前は親のセンスの問題で姉貴に問題があるわけじゃないんだけどな…。
でも征可って……、征可って…。
全てを征することが可能な子って意味なんだぜ。
嘘みたいだろ……これ、本気なんだぜ?
俺にはあの親のセンスがわからない。なに、今って戦国時代なの?天下を征しちゃうの?……あの姉貴が?
や、やめてくれよ!!背筋が凍ったぜ!!

……と、まぁ、姉貴の紹介が長くなってしまったが、ペンを持つ指が痛んで来たので、そろそろ本題に入ろう。
ことの発端は俺と姉貴が漫画の世界にトリップしたことから始まった。
……トリップ。……書いてて恥ずかしくなってきた。
もしこれをまともな神経を持った人間が読んだなら、俺が頭の病気を患っている可哀想な人間だと思うだろう。
でも嘘じゃないんだ。勿論妄想でもないし、俺が頭の病気を患っているわけでもない。
とにかく、俺たちはトリップした。
 

……しかもテニプリの世界に。



 
← × →
1 / 1
BACK
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -