01


放課後、私はクラス全員分のワークを持って音楽室へと向かっていた。
何故かって?
言わずもがな音楽の先生に頼まれたからです、私は音楽の係りでも何でもないのに。

それに音楽の授業なのに筆記があるとかおかしいよいらないよ、リコーダー吹ければいいんじゃないのかよ。
そんな文句をいいながらも音楽室に到着。


ガラリ


「…………あれ?」

「よっ!!」


先客がいました。
机に向かって何から必死に頭を悩ませている橘くん。
というか、音楽室と橘くんて……、



「似合わなッ」

「えっ、いきなり酷くね!?つか今何思ったのか何となくわかるのがつらい!!」

「何でわかるの!?橘くんも新井菌が移ったの!?」

「新井”菌”って何だよ、すっげー感染したくないんだけどその病気!!」


本人に聞かれたら二人ともあの世行き決定だ。



「で、何してるの?」

「あー、お前音楽得意?」

「……得意ってわけじゃないけど苦手でもないかな」

「俺まだワーク出来てねーんだ教えて!!」

「あー、うん、いいけど……どこわかんないの?」

「楽譜が読めない」

「致命的!!」


おいおい、ドレミくらい覚えようよ!!


「あ、それかワーク見せてくんね?写したほうが早いし!!」

「え、私の?答え合ってる保証ないよ?」

「いいよいいよ、とりあえず解答欄が埋まればいいから!!」

「でもそれだと圭祐のためにならないよねー」

「そりゃあそうかもだけ……………ど………、?」


あれ、おかしいな。
声が一つ増えたような……?
私と橘くんは恐る恐る後ろを振り返る。



「「ぎゃぁぁぁああぁ!!」」

「人の顔みて悲鳴とか失礼だよねー」


ニコニコしながら後ろに立っていた新井くん……、いや、新井様。
怖ぇーよ、いきなり後ろに立つなよ!!


「な、何で光までここにいんの……?」

「んー?あぁ、圭祐が部活に顔見せないって桐原クンがクラスに来たから、探すの手伝ってたところだよ」

「うわ、やっべッ!!部長に今日遅れるっていうの忘れてた!!」


顔が真っ青になって慌てる橘くん。
うーん、桐原くんは完全に橘くんの保護者になってるなー。


「でもこのワーク今日中だから、終わらないと橘くん部活いけないんだよね?」

「そうなんだよ!!だからお願い見せて!!光のやつでもいいから見せて!!」

「え?嫌だっ」


笑顔で切り捨てたよ語尾にハートつきで!!


「えええ何でェェェ!!??」

「俺ね、今圭祐に怒ってるんだよね」

「……え?」

「クス……、俺の病原菌移してあげようか」

「お前いつからいたのォォォォ!!??」


疑問形なってないところがなおのこと恐ろしい。
……時間かかりそうだな。
まあ私はワーク置きにきただけだし、そろそろ……、




「どこにいくのかなー?」


肩をガシッと掴まれた。
やばいやばい今頭の中で防犯ブザー鳴ってるよ、振り向けない振り向いちゃいけない悪霊退散悪霊退散。


「俺のこと病原菌や悪霊扱いするなんてほんといい度胸だよねー」

「そそそそそんなこと全く思ってないだだだだだ肩ッ、肩ミシミシいってるいだだだだだッ!!!!」

「帰っていいなんて誰がいったのかな?それとも俺に構って貰えなくて拗ねてるの?可愛いなー、心配しなくても今からたっぷり構ってあげるからね」

「どんな解釈してんだあんたはァァァァ!!」


構う=説教だろ!!??
お願いですから帰らせてくださいィィィィ!!



その後、音楽室から2人分の悲鳴が響き渡った。


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