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「翔音くん、ちょっと頼みたいことがあるんだけど……」

「……?」

「髪、タオルで拭いてほしいです」

「……わかった」


お風呂に入った後、服を着てリビングにいって一番最初に目にはいった翔音くんに頼んだ。


「えっ、何でお兄ちゃんである俺に頼まないの!?」

「朔名に頭を下げるくらいならバンジージャンプ100回やるわ」

「昔はあんなにお兄ちゃんお兄ちゃんいってたのにいいいいいい!!」


そんな思い出にさよならバイバイ。




「ってかなんで拭いてもらうんだ?」

「うーん、私今腕が筋肉痛でさ、上に上がらないんだよね」

「何したんだよ」

「ボール投げの測定」


体育で記録更新のために何度も投げたから右腕が非常に痛いのです。


「……後ろ向いて」

「あ、うん、ありがとう」


わしゃわしゃと、けどすごく優しく髪を拭いてくれる翔音くん。
あ、やばいこれ寝そう。


「……髪さらさらだね」

「え、そうかな?まあ毎日リンスもトリートメントもしてるからね!ありがとう、でも翔音くんだってすごくさらさらしてるよ」

「……ありがとう」


ふわりと笑う翔音くん。
ほんと絵になるわー。
美人の笑顔って綺麗すぎて直視できないよ。


「あれ、俺の存在無視?なんでそんな堂々といちゃいちゃしてるんだ俺の目の前で」

「いちゃいちゃしてるつもりはないけど、そろそろ彼女の一人くらい作ったらどうですか23歳」

「やめてええええそこで年齢いうと本気で悲しくなってくるから!!」





「……拭き終わった」

「ありがとう翔音くん」

「……ん」


優しく頭をぽんぽんとされた。
ちょっとだけドキッとしたのは秘密だ。


「……何顔赤くなってんだよ思春期女子高生」

「うるさい彼女いない歴=年齢の散らかった顔の23歳グラサン野郎」

「何その悪口のオンパレード!?お前は歩く悪口製造機か!?」

「はははっ、例え面白いねお兄ちゃん」

「愛想笑いするならもっとわかりにくくやってええええええ」


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