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「……ほんと、あの美少年はどこいったんだか」


気がつくとフラリといなくなってしまう翔音くんを探しに屋上へ向かう。
彼はときどき屋上で寝ている時があるからもしかしたらという期待を持って。


ガチャ……


「……翔音くーん、いま…………せんね」


屋上に出て見たがそこには人の気配すらなかった。
やっぱりいないか。

私は手すりのところまで歩く。
下を見るとグラウンドではサッカー部が練習をしていた。
あ、橘くんだ。
赤髪だから目立つなあ……、あれ?



「俺ならここにいますよ」

「ぎゃわあああああ」

「先輩うるさい」

「ううう後ろから話しかける桐原くんが悪い!!」


ほんと、みんな神出鬼没すぎて困るよ。


「……っていうか、あれ?桐原くん、部活は?」

「サボりました」

「え、何で!?珍しい!!」







「…………先輩、」


桐原くんの顔は、いつもより真剣な顔だった。


「……先輩は、来年で卒業ですね」

「え?あ、まあ、そうだね、3年だし」

「やっとうるさいのがいなくなりますね」

「喧嘩売ってる!?」







「……本当、先輩は酷いですね」

「……え?」

「何年経とうが、俺は先輩には追いつけません」

「………」

「先輩の後ろを追いかけることしか、できないんです」

「………っ、」

「いつも俺を置いて先に行くんですよ、貴女は」

「……き、きり、はら……くん?」





「……先輩、俺はーーー……、」












「っていう夢をみたんだよね」

「なんて夢見てるんですか、見てくださいよ俺のこの鳥肌」

「そんなに嫌だったか!!」

「当たり前です」

「……そういえば、俺は、の続き聞く前に目覚めちゃったんだけど、あれ、何て言おうとしたの?」

「俺が知るわけないじゃないですか」

「ハッ、まさか“俺は先輩がいないと寂しいです”とか!?」

「先輩、紐なしバンジーか、ボールの的になるか選んでください」

「その選択肢に希望が見出せません」


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