◎ 01 朔「なあ、これで買い物終わりか?」 『えーっと……あとは、包丁かな。そろそろ新しいのかわないと、今使ってるやつもう古いし』 翔「……包丁?」 『うん、多分この近くに置いてあるとおもうんだけど……、』 朔「……あ?翔音のやつどこいったんだ?」 『え?あれ、さっきまでここにいたのに……』 朔「もしかして包丁さがしてくれてんじゃねーの?」 『そ、そう、なのかな』 朔「多分……あ、翔音来た」 『え?』 翔「……これ、包丁」 『あ、もってきてくれたんだ!!ありが…………って、ちょ、生身!?パッケージは!?その包丁がはいってたはずのパッケージは!?』 翔「いらないから捨てた」 『何してんのぉぉぉぉぉ!?』 朔「ははっ、さっすが翔音だな」 『笑い事!?これ売り物だから!!まだ買ってないのに開けちゃったらまずいでしょ!!』 翔「……せっかく持ってきたのに」 「『………………』」 翔「……何してんの」 『え、……頭、撫でてるの』 翔「何で」 『だっ、だって……、拗ねてる翔音くんが、可愛くって……』 翔「……俺のこと馬鹿にしてる?」 『そ、そんなことしてないよ!?』 翔「ふーん……」 『(ものすごい不機嫌な顔してるけど、私の手を振り払うこともなくされるがまま……)』 『(……満更でもない、のかな)』 朔「(あーあー見せつけちゃってんなあ……、俺の存在……つかここが客がたくさんいるデパートだってこと完全に忘れてるだろ)」 そんなことを思いながらも微笑んでいる朔名のことも、ちらちらとこちらを見ている他の客たちのことも、私と翔音くんは全く気づきませんでした。 あのあと結局パッケージのない包丁は買いました。 レジのおばさんに変な目で見られたけど、別に盗もうとしたわけじゃないからね!! 今日の夕飯からは翔音くんが選んだ包丁で料理です。 せっかくだから翔音くんの好きなものをつくってあげようかな。 prev / next [back] |