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「それじゃあ芹菜、今日から頑張れよ!!」

「……………うん」

「もちろん翔音もなっ」

「……ん」








あーあ、来ちゃったよテストが。










いつもより少し早めに学校にきた。


けどそれよりはやく来ている生徒が多く、みんな友達同士で集まっては問題の出しあいをしていた。





今からやったってそんなに頭に入るわけじゃないんだけど、まあ気休めだよね。





そうしないと落ち着かない。








「翔音くんは復習バッチリ?」

「……まぁ」

「いーなー頭いい人は」

「……交換はやだからね」






……読まれてたかっ!!










「おっはよー芹菜に翔音くん!!」

「あ、おはよー玲夢」

「……はよ」






参考書を手にした玲夢がかけよってきた。





「どう芹菜、テスト勉強の出来は?」

「……正直いってヤバい。でも教えてもらったとこは、多分、多分大丈夫な気がする」

「(今2度言った)だよね、あたしもそんな感じ。翔音くんはどう?」

「……別に問題はないけど」

「さっすが翔音くんだねっ、尊敬するよその頭脳に!!」

「………」

「あたしにもその頭脳分けてほしいなっ」




「……同じこと言ってる」

「え、何が?」


あはは……、考えてることはみんな一緒か。



テストは3日にかけて実施する。


今日のテスト教科は現代文と日本史と英語。

残りはあと2日にわけてやるということだ。



だいたい午前中に学校は終わるけど、家に帰っても勉強しなきゃいけないって思うと、辛すぎる。







先生が教室に入ってくる。



その瞬間クラスの雰囲気が変わった。




ああ、テストがはじまる合図だ。













「……………」




なんだか今日1日で体力削られた気がする。





テストが終わった瞬間、私は机にぐでーっと寝そべった。




辛い、辛すぎる。







「……何寝そべってるの」





上から声がふってきた。



首だけそちらにむけると、翔音くんがそこにいた。






「……帰らないの?」

「ああ……帰るけど、帰りたくない」

「何それ」

「だーってさー、帰っても勉強しなきゃだし………、テスト週間のときだけは家に帰りたくなくなるもんなのよー」

「……でも結局は帰るんでしょ」

「う……………」






そ、そうだけどさああああ。


こんなことしてても無駄に時間潰すだけだってわかってるけども!!




頭が単語だらけでもやもやするんだよおおお……。










「……これ、あげる」

「?」





翔音くんの手にあったのは黄緑色の紙にくるまれている飴だった。




「飴?もらっていいの?」

「ん」

「あ、ありがとう……。翔音くん、飴なんて持ってたんだ」

「……さっきもらった」

「え、誰に?」





翔音くんが指さした方向にいたのは橘くんだった。





「……疲れたときは糖分とったほうがいいっていわれて、くれた」

「そうなんだ」






飴くれたのは嬉しいけど、翔音くんが食べ物をくれるなんて。




いつぞやのバイト前ではケーキ1人食いしてたのに。


珍しいこともあるもんだ。



あれから2日、私は死に物狂いだった。




勉強しなきゃと思って机に向かうけど、手はなかなか進まず苦労した。








けど…………やっと終わった、テストが。






「やっふおおおお終わったテストがああああ」

「……うるさい」






今は3日間のテストが終了した帰り道。




私がぐーっとのびて叫べば、隣にいる翔音くんは耳を塞いでいた。






「だってもうテスト終わったんだよ?明日と明後日はテスト返しだけで授業はないし、もう今週末から夏休みだよっ!?」

「……そんなに嬉しい?」

「うんっ、嬉しい!!」

「……っ、そう」






あれ、翔音くんちょっと引いてる?


ま、いっか。






「やっぱりせっかくの夏休みだしどっかいきたいよね!!」

「……暑い」

「翔音くんは遊びにいきたくないの?」

「…………暑い」




なんだろう、このテンションの違い。







でもどうせいくならやっぱり遊園地かなあ。


私ジェットコースター大好きなんだよねー。







「遊園地いこう!!」

「……は?」

「遊園地いこう!!」

「いってらっしゃい」


なんて報われない…っ!!




「違う違う、翔音くんも一緒にいくんだよ!!」

「……2人で?」

「う!?」







そうきたか!!




あれ、この場合なんて返事すればいい?




“うん、2人でいこう”



………ただのデートじゃん!!




“ううん、玲夢たちも誘っていこう”



……やっぱりこれがまともかな……。






「玲夢たち誘ってみんなでいこうと思うんだけど……翔音くんはどっちがいい?」

「どっちって?」

「え、だから……みんなでいくか2人でいく、……か?」

「……別にどっちでもいいけど」

「……えッ!?」





どっちでもいいだと!?

2人でもいいと?


いやダメダメ、それはよくない。

いや、いいのか?

あれ、わかんないや。





「じ、じゃあみんなでいこう!!」

「う、ん」




焦って勢いよく答える私に翔音くんは少したじろいだ。






多分翔音くんの場合、2人でいくってことがどんな意味なのかわかってないんだろうなあ……。



無垢って罪だ……!!

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