22


チュンチュンと鳥の鳴き声が耳にはいる。

カーテン越しからでも差し込んでくる太陽の光に眉が歪み、窓に背を向けた。



ゆっくりと目を開ければぼんやりと自分の部屋が見えてくる。




目覚まし時計をみれば午前8時15分をさしていた。




ああ……そろそろ起き…………。








「だっぱああああああああっ!!!」







ああ、これは遅刻である。















「……藍咲、お前……寝坊か?」

「そーです」





1時間目は運悪く(良く?)担任の授業。

先生には哀れみの目を向けられた。


クラスには笑われる始末だ。






「まさか芹菜が遅刻とはねー、びっくり」

「なかなか珍しいですねー」




休み時間になると玲夢と柚子が話しかけてきた。




そう、私が遅刻は珍しいのだ。

いつもならちゃんと目覚ましで起きるのに。





朔名め、自分私より早起きなんだから起こしてくれたっていいじゃん。


自分だけ普通に仕事行っちゃってさあ。


今度朔名の靴紐キツく結んで履きづらくしてやる。


午前中の授業がおわって昼休み。


そういえば、今日は翔音くんの姿をみていない。

いつもなら真面目に授業受けてるんだけどな。



学校には来てるはずだ。

朝家をでるとき、翔音くんの靴無かったし。




どこいったんだろう。






「なぁ藍咲ー、翔音見なかったかー?」




橘くんがこちらに歩いてきた。



「私も探してるんだよねー、今日は一度も会ってないし」

「マジかよ。どこいっちまったのかなあ」

「翔音くんに用事あるの?」

「用事じゃねーけど、俺も今日みてないからさ。藍咲は用事か?」

「ううん、違うけど。ちょっと言いたいことあって」

「も、もしかして、告白……っ!?」

「ぶっ飛ばすよ」


考えが女の子みたいだ。



さてどこにいるかな。


保健室、体育館、トイレ、屋上……。





「まぁ無難に屋上にいそうだよね」

「ああ、今日あったかいからなー。いってみっか!!」



そして私たちは屋上に向かうのである。



階段で最上階まであがると、さすがに足が痛くなった。


橘くんはサッカー部だし毎日運動してるから全く疲れていないみたいだ。



くっそーう、こういうところで運動部と帰宅部の差がでるんだよね。






屋上に着き、その重い扉をガチャっと開けた。




外にでると、心地よい風がサァっと吹いた。

太陽の光がぽかぽかしててすぐにでも眠くなりそうな良い気候だ。




「えーっと、翔音くんは……………あ」




そんなに探さなくてもすぐに見つかった。
屋上のど真ん中で手を頭の後ろで組んで寝ていた。




「おー、やっぱりここにいたか」



私たちは翔音くんのところまで歩いていく。

そしてとりあえず起こそうとして隣にしゃがんだ。




「つーか藍咲、お前しゃがんだらスカートの中見えるぞ?」

「もし見たら地の果てまで蹴り飛ばすから安心して」

「それのどのへんに安心すればいいの!?」




というわけで、私は念のため正座することにした。




起きないかなーと思って顔を覗きこんでみる。


翔音くんの顔に私の影がかかった。






ああ、ほんと綺麗な顔してる。

寝てるときはこんなに可愛いのになあ。

いったい何を間違えたんだか。



すると、翔音くんは若干眉間に皺を寄せて薄く目を開けた。

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