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さてさて今年も例外じゃないよ。


毎年恒例の身体測定!!




そんなさー、毎年はかったって女子は高校生にもなると身長なんてろくに伸びないのよ。



もう男子だけでいいじゃん。



あ、でも授業潰れるのだけは感謝できるけど。








え、体重?

何ソレ、なんの調味料?




そんなわけで私は今体育館にいる。


もちろん玲夢と柚子もいっしょ。

翔音くんは即橘くんに連れていかれてた。




というのも、まだ女子が普通に教室にいるのに体操服に着替えるために制服を脱ぎ出したからだ。



まぁ確かに男子はあんまり気にしない人もいるし、むしろ『この俺を見ろ!!』といわんばかりに脱ぎ出す馬鹿もいるけどさ。





まだワイシャツだったからいいよ?
上が裸でも水着じゃみんなそうだしね。


けど、ズボンはまずいだろーがあああああ!!





クラスの女子の黄色い声が大きくなったのがすぐわかったよ。


というわけで、そんな危ないことになる前に橘くんが教室から連れ出しました。


きっとトイレに避難したんだろうな。



基本的に更衣室は女子が使うからね。


波乱万丈な幕開けである。



うちの学園の身体測定はちょっと他と違う。


学年ごとにわかれてそれぞれの場所で測る。



ちなみに男女混合である。
ここ重要。






なんで高校生にもなって男女混合なんだ。

あれか、先生の趣味か。
混合なら男の先生でも女子のいる場所にもいれるっていう魂胆か。

そうか、セクハラだな。




そんでもって測定が終わった女子にちょっかいだす男子もセクハラだ。

お前ら中学生か。






「へぇー、藍咲サンの体重は45kgなんだ」



にょきっという効果音付きで私の後ろから現れた新井くんに一瞬体が固まった。











「せっ、セクシャルハラスメントォォォォ!!」




ズザザザァァと漫画のように後ずさる。




「嫌だなー、そんな大っぴらに測定記録晒してたら見えまくりだって」

「だからってわざわざ体重を読むなよセクハラじゃん!!」

「大声でセクハラとかいわないでくれる?藍咲サンにそんなことするとか、俺の顔に泥塗るつもり?」





なんで私はさらに被害が増しているんだ?

心が、私のプライバシーが!!




「今のでかい声はなんだー?」

「……」




やってきたのは橘くんと翔音くんだった。


うん、翔音くんちゃんと体操服に着替えられてる。



にしてもこんな体操服が翔音くんが着るだけで見栄えが変わるとか、どういうことだろうね。




「あぁ圭祐か、もう測定終わったの?」

「おう!!聞いてくれよっ、俺身長5cmも伸びたんだぜ!?171cm、すごくね!?」

「へぇ、すごいねー。俺は177cmだったけど」

「………」




あぁぁ……、橘くん、衝撃で固まってるよ。




「べ、別にいいし!!俺翔音には勝ってるもん!!」

「男が“もん”なんて言っても可愛くないよ」

「誰も可愛げなんて求めてねぇよ!!」




顔が赤いよ橘くん。
ちょっと恥ずかしかったんだね、“もん”いっちゃったの。






「翔音くんは測定終わったの?」

「ん」

「身長どうだった?」

「……セクハラ」




私はまた固まった。


ど、どこで覚えたそんなの。

あ、さっき私が大声でいってたか。





「あ、あのね翔音くん。多分身長聞くのはセクハラにはならないと思うよ」

「そうなの?」

「……まぁ体重とか座高は、セクハラ……に、なるのか、な」

「………違いがわからない」




翔音くんは若干眉間に皺を寄せた。

ああ、どうしてこういう表情は読み取りやすいんだろう。



もっと笑いなさい。

きっと学園中の女の子が天に召されるから。

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