09


温かい日差しがカーテンごしからはいってくる。
ベッドは窓のそばにあるからちょうど顔あたりに日差しがあたって眩しく感じた。

重い瞼をゆっくりとあけると目にはいるのは真っ白な天井。

数回まばたきして目を覚まそうとするが、まだ目覚ましがなっていないことに気づく。

覚醒しきれていない頭でぼんやりと考え、あぁそうかと納得した。




今日は土曜日だ。











「おはよー……」

「おぅ、はよー。なんだ、まだ8時だぞ?芹菜にしては珍しく早ぇなぁ」



リビングへ降りるとすでに朔名は朝食を食べているときだった。
新聞片手にコーヒーって……オヤジか。

私も冷蔵庫から適当にパンをとりだしてテーブルにつき食べはじめる。


「んー……、今日は買い物……あるしー」

「眠そうだな」



土曜日なのにこんなに早く起きることなんてあんまりなかったから身体がついていかない。
起きてはいるけど、気を抜くと夢の世界へ旅立ちそうだ。


「でも遅く起きると買い物いく気失せるから……」



今にも閉じてしまいそうな目を擦りながら必死に起きようとしていると、朔名が私の頭を撫でてきた。


「別に急いでいかなくたって大丈夫なんだしよ、のんびりいけよ」


そういってくしゃくしゃと撫でてくるけど、眠い私には余計に眠気が襲ってきてしまう。



「頭撫でんのやめてー……余計眠くなる……」

「寝りゃいいじゃねーか。撫でられんの嫌じゃねーだろ?」

「眠くなるから嫌ー……」

「にしても黒髪懐かしいなぁ。俺染めちまったからもう黒染めしてもダメなんだよなぁ」

「あのー……」

「つか寝癖すげぇな、あっちこっち」

「……」

「前髪ぴょんぴょん」








「だぁからやめろっつってんだろーがああああ」

「うぐぅっ……つぁぁ!!」



テーブルの下で朔名の脛を思いっきり蹴った。
朔名はテーブルに沈んだ。





「ありがとう、お陰で目が覚めたよ」



さぁて、顔洗いにいこーう。



洗面所の鏡の前に立つと、自分の頬のガーゼがみえた。

……目立つなぁこのガーゼ、でもまだ外せないし。




あ、買い物にこの顔でいくのか!?


それはすごく避けたいことだった。
周りのみんなに笑われるじゃない。




「そうだ、マスクしていけばいいんだ!!この季節は花粉症の人多いからマスクしてても変じゃないし」


私はすこし安心すると、顔は洗えないので目だけを洗っておいた。
着替えてこないと。



自分の部屋にもどり、クローゼットから洋服をひっぱりだす。
トップスは焦げ茶と白色のニット生地のボーダー、ボトムスはジーンズ、靴は茶色のブーツと、可愛げなんてない普通の服だ。
それ+マスク。


なんか女子高生がこんな格好でいいのかっていうくらいパッとしない。



もう18年間生きてて慣れたさ。






リビングへもどると朔名は仕事にいく準備をしていた。


「もういくの?」

「もうちょっとしたら行くよ」



そういって、ソファーに自分が着ている服とは別の服をおいた。
黒にシルバーでロゴがはいっているTシャツに少し細めのジーンズ。


「これ、とりあえず今日の翔音の服な。ここ置いとくから、上着は俺の適当に使っていいから」

「はいはーい、わかった」




そんなことをはなしていると、翔音くんがリビングにはいってきた。


「あ、おはよー翔音くん」

「はよー」

「………………………おはよ」



うわ、声低っ。
そういえば起きたばかりの翔音くんをみたのは今日が初めてだ。


「お前も寝癖酷ぇな、芹菜みたいにあっちこっちぴょんぴょんしてるよ」

「………」



いつものさらさらな髪はどうしたってくらいはねている。
そして眠そうな……いや、不機嫌そうに目を細めて眠気と格闘している。


眉間に皺よってるよ、低血圧か。



「……じゃあ俺はそろそろ行くわ。2人とも楽しんでこいよデート!!」

「デートじゃねーよ買い物だから」

「目的が買い物だろうとなんだろうと、男女2人が出かければデートなんだよ。あ、ちなみにデートの秘訣は「さっさと仕事行けやあああああ」ぶふぅぅ!!」



朔名の鞄を顔面に投げつけた。
見事クリーンヒット。








朔名が出かけたあと、私も出かける準備をした。
ドライヤーとブラシで寝癖を直して、白いショルダーバッグに財布をいれる。

うん、準備完了!!
2人とも早く起きたから午前中から行ってもいいよね。



そう思って翔音くんのほうをみると、彼はソファーでパンの袋をかかえてパンを食べながらテレビをみていた。


……そんなにソファーが好きか。

相変わらず頭ははねたままになっている。



「パン食べたら寝癖直しておいてね」


翔音くんはこっちを向いてパンをくわえながらきょとんとしている。
何で?





「……ほふふぇふぁ「飲み込んでから言おうよ」………」



食べながらで何をいっているのかわからない。
なんか、疲れる。



「……寝癖は、直してもらってた」

「朔名に?」


翔音くんは頷いた。

まぁ朔名の性格なら可愛い弟のためにはそれくらい喜んでやりそうだけど。
まさか私が学校にいっている間にそんなことがあったなんて。




あれ、じゃあもしかして……。






「寝癖、直して」




やっぱりそうなるのか!!

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