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家から歩いて20分。
着いた場所は駅の近くにあるカフェ『Cherry』。




「ここが、朔名のバイト先?」

「あぁ」

「………………似合わねー」

「うるせえよ」





建物はレンガを基調としたおしゃれなものだった。
建物に沿うように植えられているのはたくさんの真っ赤な薔薇。
ちゃんと手入れもされていて、太陽にあたる部分がキラキラとしていてとても綺麗だ。





「………似合わねー」

「2回もいうんじゃねえよ!!」

「こんっっな可愛らしいお店に朔名だよ?グラサン野郎だよ?可愛いの欠片もみあたらないっ!!」

「さりげなくグラサン馬鹿にしてんじゃねえよ。うん、でもわかってる。俺は可愛いんじゃなくて格好いいんだよな?」

「翔音くん、このお店のケーキ全部朔名が奢ってくれるって。食べつくそうね」

「ん」

「無視!?“ん”じゃねえよ何同意してんの!?」

「お客さんにケーキ運ぶときつまずいてジュースもろもろぶちまけて店長に葬られればいいのに」

「何この娘、目がマジだよ!?」


私達3人はそのおしゃれなお店に足を踏み入れた。




カランカラン……



入ってみるとわりとシンプルで、テーブルや椅子は白で統一されていて、壁は外と同じくレンガ。
壁の柱には植物が巻き付いていて、そこからみえる小さな花がとても可愛らしい。



「うん、店内もすごく可愛い!!私もこういうの好きだわ」

「好き?芹菜お前いつから女みたいなこというようになったんだよ」

「生まれたときから女だよ」










「いらっしゃいませお客様」





店の奥からひとりの人が現れた。



「2名様でよろしいですか?」

「……2名?」

「おーい愁ー、俺が目にはいらねぇのかー?」

「ではそちらの可愛らしいお嬢さんとお連れの彼氏さんはどうぞこちらへ」

「え?あ………、へ?」

「………」

「おい、綺麗に無視してんじゃねぇよ」

「ふふっ、冗談ですよ」






な、なんだなんだ。


随分仲が良さそうだけどこの2人……。




ってか、




どなたですかこのイケメンんんん!?



少し長めのウェーブのかかった金髪に青目、キメ細かそうな綺麗な肌、ほどよい赤みのある唇は今少し口元が上がって笑みをうかべている。



こ、こんな綺麗な男の人がいていいのか!?
翔音くんとは違った意味の美しさ!!

これこそまさに王子様!!
王子様と呼ばずに何と呼ぶ!!


「嬉しいことをいってくれますねお嬢さん」

「なんと心を読まれた!?」

「ばーか、全部声にでてんだよ」

「ハッ、存在消された奴に馬鹿呼ばわりされたくないね!!」

「お前も消されてぇか?」

「その前に埋めてやろうか?」

「阿呆か、空気になったやつをどうやって埋めるんだよ」

「ビニール袋にでもつめてやれば埋められるさ!!そして植物に被せてあげる」

「光合成させる気!?」





くだらない会話をしているなか、王子様はにこにこと綺麗な笑みをうかべていた。


翔音くんはため息をついていた。



私もため息がつきたい。







「そういえばまだ名乗っていませんでしたね。俺は黒崎愁といいます。どうぞよろしく」

「あ、私は芹菜です。で、こっちが翔音くんです。こちらこそよろしくお願いします!!」

「………」

「(翔音くんも、ここは雇ってくれるこの店の人にお礼するんだよ?)」

「……よ、ろしく」

「ふふっ……、はい、よろしくお願いしますね」


わぁ、ほんと綺麗に笑うんだな黒崎さんて。
玲夢がみたらきっとイチコロだ。




「……ところで、芹菜さんと翔音くんは付き合っているのですか?」

「え!?いやいやいや違いますよ付き合ってません!!血は繋がってませんが一緒に住んでいる家族ですから!!」

「何!?やっぱお前ら付き合ってたのか!!お兄ちゃん応援「人の話は最後まで聞こうか」


目をキラキラさせながら喜ぶ朔名。

つか、普通兄貴っていうのは妹に彼氏ができたら不機嫌になるんじゃないの!?
何目輝かせてんの!?


あ、漫画の見すぎか。
朔名はシスコンじゃないもんね。
シスコンならそれはそれでぶっ飛ばすけど。




「ふーん、彼氏……ではないんですね?」

「え?あ、はい、家族ですから」

「………ならよかった」

「え?」




黒崎さんは左手で私の腰を引き寄せて右手で顎を持ち上げ上を向かせた。





「じゃあ、これから俺とデートしても問題ないよね?」

「…………………は?」





え、ちょ、何これどういう状況?


黒崎さんキャラ違くね?

つか顔近ぇぇぇぇ!!

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