(mini) 
TwitterのSS垢ログとボツ供養



■Prime オプティマス←ラチェット
「これは夢だ」と迷いなく言われたということは、少なくとも私の理性は生きていたことだろう。毎夜の逢瀬を誰にも見つからなければそれでいいと思っていたが、やがて現実さえも歪んでしまうという警告をしに、彼はやってきたに違いない。大きな体が、また一段と大きく膨れて、私の肩を掴む手は強い。痛いなら夢ではないかもしれなかったが、彼が悲しげに「夢だよ、ラチェット」と重ねるのなら、私は彼を信じた。私は傍に立ち、見上げながらオプティマスを呼ぶ。私がここで知る彼ならばきっと肩を抱くだろう。けれど、長い腕は離れて、赤色の体を翻すと相変わらず切ない横顔だけを見せた。

■AT ロディマス×ウルトラマグナス
使っていいのは口だけだと命令を出し、ウルトラマグナスが体を投げ出す。両手とも自由なロディマスはそれを破ることも出来たが、自ら背で手を組むとその前に跪いた。しんと静まり返った室内には、押し殺すような呼吸だけ。嫌にじれったく流れる時間にロディマスは下を向いたまま「少し、開いて」と催促をする。ウルトラマグナスは息をのんで緊張していたが、それに従い、遅れて恥じらうように膝を震わせた。「……失礼します」「っ、ぅ…くっ……」ロディマスが鼻先を寄せるだけで触れてもいない腿が震える。伸ばした舌が閉じた割れ目を濡らせば大袈裟に足が跳ねあがった。ウルトラマグナスは必死に己の中の羞恥と戦っている様子で、ロディマスを制止することはなかった。けれどいつまでもハッチの外側だけを愛撫してはいるわけにはいかない。唾液を一度飲み込むと、ロディマスが苛立ちを隠しながら口を開く。「…奥を、舐めても?」「だっ駄目、だ」「どうして」「君がそこまでする必要は」「ない、ですか。本当に?」あからさまな冷笑にウルトラマグナスは腹の底が熱くなるのを感じる。それから怒りに似たような快感の訪れに、強請る言葉を口にした。

■AT ブラー×ショックウェーブ
どうせろくな表情を浮かべないから、正面から見たことはない彼の全てを手の平で窺っていた。熱を帯びた腰を掴んで、勝手に動きだした彼の穴から漏れる液と湿った吐息だけを追う。「何か言ったらどうだ」「…っと、エロい、ね」「そうかよ」ああ、なんか、うざったそうに睨む気配がした。

■Prime バンブルビー×ウルトラマグナス
実験的に顔を寄せてしめやかに舌を交わした。無味無臭の透明な液がやたらに溢れることもなければ、何か快感らしきものを得た行為ではなく、ふとコレには名もつかないのだと思った。けれど彼は大きな手のひらを頭の後ろへ寄せてくる。そうして不思議そうに「違ったか」と呟いてみせた。じっと見澄ます瞳の一瞬の灯りに、言い様のない感情が否定をさせる。きっと言葉でなければならなかったものが無理矢理に平坦な口を濡らす誤魔化しで許される。それはとても不快な底抜けの優しさで、或いは偽善なのかと思った。期待より決めつけばかりの関係が空回りしていくのが見える。「そんなに可笑しいかな、これって」だから何度目かの口付けを止めるとまた彼が疑問を掲げるのはわかっていて、自嘲気味に先回りをした。「何故、お前は私に触ろうとする」「わからないけど……示し方としては適してるんだ」視線はいつもスパークを貫くのに、飾られた言葉は出てこない。

■MTMTE クロームドーム←ブレインストーム
君に拒絶される度にマスクの裏で舌を出していた。誰にも知れず紫の毒を舐めるとじんと脳が痺れてくれる。君に好かれない言い訳を解り易いそれになすりつけ縋りつき、悲劇ぶって友達面を続けて、小さい背中を追い掛け続ける君が滑稽で泣きたかった。

■MTMTE ロディマス×ウルトラマグナス
「こんなことをしたかったわけじゃない」と言われた。顔を見る度に同じ言葉を吐かれてはもはや彼自身は口にしていないのではないかという疑問すら覚えた。大抵終わる頃になると意識は薄らぎぼんやりと赤い輪郭を目で追い何かを喚かれて暗闇に落ちる、という夢を見ている。記憶した男の声を勝手に再生し時折その表情と言葉がそぐわなくともきっと私は納得する。言い訳じみた子供のそれに何を期待すればいい。私の嫌う全てをもった男が思い出せと私に迫るのだ。淫乱と罵られれば本当にそんな気になりもする。彼の排泄物を飲まされてそれが肉になる。ロディマスという男で生かされる私はいつ死ねばいい。責任感もなく無鉄砲で底抜けに明るく口で災いを呼びこみ私が生まれつき自らの欠陥だと思い捨てた全てを拾い食いして肥えたような忌々しい存在であったが、本当に元は私の一部であったのではないかと言うほどに時に愛しくまたどうしようもない怒りがあの手にさらわれ今日も極彩色を待つ。

■MTMTE ドリフト×ラチェット
寝台から片足を下ろして、ようやく指に絡みついた手に気付いた。それを丁寧に親指、人差し指、中指と順に解いていくうちにまどろみから抜けだした男が静かに起動する。起き抜けの唇が名を呼んだ気がしてふと微笑むと、逆にむっと顔を歪めるのが可笑しく、ドリフトが一つ排気すると呼応するようにラチェットは瞬間一つ吸い込んだ。「また俺よりも先に起きるんだな」また、と言うのが誰のことを指すか知ったことではない。仮にそれが限定的に、この船内にいたところで名のつく感情の起因になるとは思えなかった。稀有な経歴の男を問い詰めるだけの気力があったならば、そもそも一夜限りとて体を重ね熱を奪い合う行為に発展することなどない。ラチェットは全く下らないことばかりだと開いた唇は再び閉じて、それを真似したドリフトも口を噤み暫しの静寂が訪れる。赤く改められた手の平の壮健な稼働音が耳に心地いい。「お前さんといると気の休まる感じがしないな」「そいつは悪かった」「まったくだ」乾いた笑みを受け取りながら、ドリフトは妙妙たる医師の背へ向けて手を伸ばした。ここにも欲するような開いた傷口や生乾きの死角はない。微かな塗装の剥がれ、装甲の小さな歪み。脆いと評するにはあまりにも長く生きた哀れな背中は愛しいものだった。

■Prime バンブルビーとメガトロン
「やあ、久しぶりだね」と僕は言った。破壊ばかりを追い求めた彼の顔は鮫のように恐ろしくも美しいと思っていたのだけど、今では傷ついて怯えた猫のようにやっぱりそれは素敵なのだった。相変わらずどこか鋭い声は疲れているようで、僕はまた近付いて「どうしたんだい」と口にする。まだ慣れない僕の声をようやく感知したらしい彼は、振り向いて、顎に力を込めると口から牙の欠片を吐いた。「怖い顔。君ってずっとそうなの?うちのサーだってもう……まあ、時々っていうか、その、たまに笑うようになったよ」冗談ぽく言う僕を無視した彼は興味なさげにしながら、ぽつり寂しそうに何かを呟いて星を見た。僕は傍により触れた、錆ついた銀色のざらつきを愛しく思う。「ねえ、メガトロン」使い古した体が好きだ。彼の生きた歴史がまだこの手にある。「君だって寂しいんだろう」彼の友だった僕の家族は、どこかできらめいているだろうか。

■G1 ラチェット×サンダークラッカー
「お医者さんってもっと頭のいいものだと思ってましたよ」となんとなしに言うと、胸に顔を埋めていた白い機体がブハッと吹きだした。丸い頭が退けると息を吹きかけられたキャノピーが白く曇っていて、すぐに元のクリアな黄色に戻ったことはかすかな熱が去ったことで想像できた。くつくつと肩を震わせていた名医を見下ろして、唇を尖らせる。早く、笑うよりも、もっとして。とか、そんな感じに腰へ足を絡ませて体を揺する。なのに「どうして、」と解りきった薄ら笑いを浮かべた顔には、敵である俺と性行為に至るその不道徳について説いた。「君だってもっと頭のいい奴だと思っていたんだがね。何故かといえば簡単だ。戦争なんて馬鹿げたものに積極的じゃあない、それだけで君は少なくとも他のデストロンに比べれば賢いと思うのさ。まあそれでいくと私なんかは………命を救うふりで仲間を戦場へ送り出す嫌な役目を負わされて、逃げ出せもしない。卑怯な弱者だよ」饒舌なのは単に俺の言葉を先回りしてこの空間を埋め立てていくからだ。俺は「可哀想だな」と笑ってやった。ラチェットは、今度はご機嫌な様子で「お互い様だろう」なんて言って慰めを要求した。ハッチが開いて現れる接続端子はこんな場合に限って性器と呼ぶらしい。生きるには便利とも不便ともつかない自分の体を1から100まで知りはしないけれど、少なくともそのメカニズムについてはよく知る男に身を委ねて、スパークまで痙攣した。「君の気持ちいいところとか、何も言わないでいいよ。それを探るのが好きなんだ」「エロだな」「そう?」「エロエロですよ、ドクター」「あまり褒めるんじゃないよ」と嬉しそうに笑いやがる。俺はこの時点でほとんどのものを手放す。まだ意識までは許してはいないけれど、元から大したものではない小さな脳の役目などは、どうだっていい。偉大な破壊大帝様に尽くす程度の航空兵なんてのはそんなものだろう。速く飛べるように俺たちの脳はきっと軽くできていて、まともに考える力だってほとんどない。

■Drift アックス×ダイアトラス
キス一つで恥ずかしがる可愛げのある男でもなし、初めから触れることに躊躇したこともない。前もって了解をとるような野暮なことをしたこともないのは、拒絶を恐れてのことだとはどこかで自覚している。アックスがダイアトラスを求めるのは極自然なことではあると自惚れてはいるが、その逆であれば常に理由が付き纏った。好意を幼稚な言葉で並べたてることに意味はない。そんなものに縋るほど柔でもないのだ。ただ、祈りに似た思いで、頑なに引き結ばれた唇に舌を這わせながらアックスは目を細めた。「何か用があって来たのだろう」舌が離れると共に開かれた唇へすかさず入り込もうとして、頭部を手の平で押し返される。ただ濡れただけそこが誘うように動いているというのに、もどかしさを抱えながらアックスは身を引いた。「したくなったから来た、じゃあ、納得いかないか?」「いや……いい。どうせ暇だ」「お前がか?珍しいな」「お前のことだ、アックス」頬を緩ませたのは当然アックスの方が先だ。だが、確かにダイアトラスの纏う空気もその瞬間に和らぎ、招かれる。堅く閉ざされた向こう側の温度を感じるのは何ものにも代え難く、隙間を埋めるように求めあえることが愛しかった。

■MTMTE ロディマス×ウルトラマグナス
窮屈だと感じたこともない大型機に設えたデスクに向かいながら、ウルトラマグナスは何時になくフェイスプレートを歪ませ、閉塞感に息を呑んだ。目の前に生まれるはずの空間を占めた赤いそれは規格差を埋めるように一段高く、つまりはデスクの端に腰を落ち着けて、その背後には、いくつかの積まれたデータパッドや空になったグラスが2つ、まだ半分ほど残ったピンク色の液体を残したボトルが、隔離されたもう一つの現実のように残されていた。マグナス、と呼んだロディマスの舌が固く噤んだ唇を舐める。濡れた感触にウルトラマグナスはようやくその催促が1度ではないことを思い起こした。薄く開き招き入れると腕を緩く掴んでいた手が項へと移動している。キスという行為なのだと理解するまでにも僅かだが時間を要した。「悪くないだろ」「ああ、だがロディマス」「そりゃよかった」言葉を遮ったロディマスが再び唇を合わせる。首を傾かせ舌の動きも大胆になり、ウルトラマグナスは機体の細さを確かめた。誰と何をして、この原因とは、するべき事は何か。冷静な判断が出来ない。「ロディマス、待て……っ」抗えないほどの力でもないはずなのだ。それなのに体の自由がない。たかが酒、である。立場上いかなる場面であっても節度ある飲み方をし、それを外れ醜態を晒すなどあってはならない。視界の端で捕えたグラスのたった一杯で酔うこともないはずだ。それなのに、とウルトラマグナスはロディマスの体を包む手の平に力を込める。やっとの思いではじき出した仮説さえ、こぷっと音を立てて唾液と共に流れてしまう。「っあ…、うっ、く……ッ」差し込まれた舌は特別長いというわけでもなく、比べる相手などいなくとも拙い動きだとわかる。しかし、歯をなぞり舌先がギリギリに届く上顎をちろちろと舐めるのがたまらない。ロディマスによって確かな快感をもたらされているのだと、それだけの事実を前にウルトラマグナスは腰を震わせた。

■MTMTE ファルマ×ラチェット
生まれてから死ぬまでの間に出会う感情のほとんどが悲しいものなので、せめて少しでも救われるようにとたくさん足掻いたひとでした。たくさんのひとが痛いと泣いてあのひとの手をとったので、私はあのひとの手を守れるひとになりたかった。遠い昔の、幼い欲情が長く時を経て今では、

■G1 スタースクリーム×スカイファイアー
【擬女化】重たそうな白い長髪がどろりと落ちていくさまを、ぼんやりと見ていた。何か、閉じるようにして流れたきらきらと光を反射させるベールのような向こうが透けて見えずに、指先で掬いあげる。丸い肩がびくりと跳ねて縮こまり、俯いた顔を上向かせれば柔い肌を滑る涙に見惚れて、青い瞳が名前を呼んでいる。招くそれに心づいた唇が渇いて、スタースクリームは胸を焦がした。衣擦れの音に隠された口付けは止まらずにひたひたと身体中を辿るような触れ合いになる。その輪郭を愛しげに、執拗に追い求め、丸い爪が茶混じりの短い黒髪を掻きまわすまで。

■Prime オプティマス←ラチェット
彼のリズムで私が痛むなら、私はきっと生きられる。金属のからだで弾むポンプが、とくんとくんと生を満たす音。その脈動が、からだの大きな彼は少し早い。腕の中で追うように重なったあのときの痛みとたくさんの想いが巡る。君が守った、私が悼んで生きる朝の眩しさは失われない。

■G1 ブロードキャスト×トラックス
恋愛とは即ち奉仕だ。相手に尽くし尽くされてそれで満足出来れば最高だ。まあ我々については一方的に突き突かれる関係なわけだが。なんてことを口に出したらはっ倒されそうだと思いながらブロードキャストは耐えてみる。開いた足の間に座りこんだトラックスに正に奉仕を受け、耐えに耐える。早漏の気はないにしても焦らすとも違う拙い絶妙な刺激に、興奮があっという間に最高点まで上りつめた。赤い顔をより色濃く艶やかに歪ませて、ぺろりと覗く小動物じみた舌に指先まで痺れる。「よくないのかい?」「え?あ、ぜんぜん」「ぜんぜん…どっち?」「気持ちいいよ」「そう…」少しだけ自慢げに頬を緩ませて離れたトラックスが腹を跨ると、濡れたコネクタを緩く手で撫でさすった。それから見せつけるように含み、その熱と不規則な水音がブロードキャストの思考を掻き乱す。気を紛らわせていなければ、きゅうと腹の底から訴えるそれを我慢できそうになかった。

■G1 サウンドウェーブ×サンダークラッカー
「そこ、好きか?」サンダークラッカーの問いかけにサウンドウェーブは名残惜しげに手を離した。だが、直ぐに構わないと了解をとると再び水色の主翼の赤いラインを指先がなぞり、胸に凭れたままサンダークラッカーはくすりと笑った。サウンドウェーブは抱き合うと必ずその輪郭を追う。それの意味するところを言及したことはないが、些細な動きから知れる。意地悪くはたはたと動かすと、かすかな排気がマスクに阻まれながらも聞こえた。「そこばっか触って楽しい?」「楽しい、とは違うな」「じゃあどんな感じ?俺はさ、そんなに敏感な方でもないから気持ちいいとかじゃねえんだけど」「…それでいい」「あんたさ、俺と話すの面倒くさいんだろ」否定も肯定もないことを知りながらサンダークラッカーは幾度となく、独り言じみた問いかけを零す。体が触れ合っていても心根に触れなければと拘るのは、意味を求めるからだと気付いたのはごく最近だ。

■G1 サンダークラッカー×サウンドウェーブ
白いマスクの向こうの形のいい唇がほのかに色づいていることを知れて、興奮してしまった。拒むことを忘れたように硬直した平らな胸に手を置いて、軽く食んだ唇はつるりとしていて好ましい弾性に富んでいる。「ちょっと、口開けて」「ん、ぅ」「そう」素直な慎ましいそこを舐めあげて舌を差し込む。びくんと大袈裟に震えあがるのに、笑みを殺して所在なさげな手をとってやる。赤いバイザーの奥で何を見ているのだろう。するりするりと逃げ惑う舌を追い掛け唾液が音を立て、呼吸が乱れていくほどに静寂が耳に痛い。奇妙で不一致な昂りを飲み下して、奪う喜びも愛しさも憎いだけだった。

■Drift ターモイル×デッドロック
黒い巨体がぐわんと揺れてたたらを踏み、爆音と閃光の中にその姿を見失う。瞬間的に絞ったオプティックが濃い土煙に慣れるまで待つこともなく、デッドロックは駆け出した。宛もなく転がる死体を見境なく踏みつけて、やがて晴れてきた視界の外のうめき声に足を止める。金切り声の撤退を背に、うつ伏せの黒い塊の下から見覚えのない足が覗いているのを認めた。無意識に小走りで近づき、爪先で小突く。「おい、死んでんのか」小突くと言うよりは蹴りに近い衝撃に、巨体が起き上がった。デッドロックは舌打ちの裏で胸をなでおろし、ぎくりと動きを止める。「アンタ、それ平気か」「ああ」ターモイルの抉りとられた腹からどろりと循環液が漏れ出ていた。露になった死体の胸を貫いたそれがひび割れているところを見ると、指揮官たる彼の頑丈さがよく分かる。だが、さすがに堪えた様子だ。「引き上げる、遅れるな」「おい、ターモイル」「大したことではない。行け」「…テメェこそ遅れんなよ」吐き捨ててオルトモードで船まで戻る。使えなければ上官であれ廃棄処分すべきだと笑えば、内に隠っていた数機が慌てて回収に飛び出して行った。辺りで溢れる雑音を振り払い、奥歯を噛み締めて回復を祈りながら、デッドロックはターモイルの自室に籠城した。

■MTMTE クロームドーム×リワインド
「期待しないで」「してないよ」「じゃあなんで」「友達だろう」「確かにね。でもいい関係を築くには気持ちを押し付けないことだ」「してない」「そう」「そうだよ」「俺の思い過ごしだね」「かもね」「ごめんね」「いいよ」「好きだよ」「ごめんね」「なんで」「君に嘘をつかせてる」

■Prime ブレークダウン×ノックアウト
相棒は、とても寂しい奴なので。何かを残してやらねばと、常日頃から気を付けた。けれどもその相棒が、俺を除いて望むものはなかったので、あいつがただいまを言う前に、おかえりを言うことにした。いつか、言えなくなる日が来る。わかっていても早すぎて、謝れないから許されない。

■Prime ラチェットとスモビー
【擬人化】向こうを見るには十分な隙間に目を奪われたままビーと繋いだ手に力を込める。通ってきた壁を背にして二人で蹲ったまま動けない。耳を塞ぎたいのに心臓をぎゅっと掴んでそのまま柔らかく揉みしだくような甘ったるい声に雁字搦めにされている。最悪のタイミング。悪戯を企てたことをこれほど後悔したことはない。漏れた光を辿って見える白い寝台で溺れるようにくねくねと細い体が踊っていた。あるはずのないピンク色の悪趣味な尻尾を振って、いやだ、だめだ、とうわ言を言いながら、それを体内にねじ込んでは跳ねた。なんで、嫌なのに駄目なのにやめないんだろう。考えれば頭の中を掻き乱された。途切れ途切れの音が繋がって名前になると、隣でビーの喉がくぅうと鳴った。ぐしょ濡れの声が腹を刺し下半身を炙る。つきんつきんと全身が痛い。腫れあがる執心に何度も指を噛んだ。

■G1 スタースクリーム×スカイファイアー
真っ暗な世界を恐れていましたいつかあの空が落ちてきてしまうのではないかと思ったので背中の羽を誇りました支配を知りました音速さえ越えた自由の中では誰もがちっぽけでその時ばかりは王様になれました一瞬の世界でも偉くなるということは快感でした誰をも傷つけてもいいとおごったことについての君の怒りを今更になって思い知らされました君はいつだって俺に問いかけたが今こそ俺は振り向き答えもせずにお前の好きだった奔放な俺からひとつきいてやろう、俺が好きだったか、さあ言ってみろと星もない空に言ってやるお前のいない夏の寒々しいQ&A。

■V ホイルジャックとパーセプター
先生、とあの子が呼ぶのだ。遠い日に失った姿で、愚直なまでに軽やかで未熟さの透ける若い声で。ただ忘れることの出来ない技術者としての腕を見せつけられた時は、喜びに胸が震えた。誰かをまた失うことはない。私はもう耐えることをやめられる。「儂は生きていけるよ」君がいない未来でも。

■MTMTE ファルマ×アンブロン
酔っていたという口実の元抱いた体は恐れから震え可哀想なほどでそれでも己を抑制することもできなかったことについては今更釈明することもない。ただ欲しかったと言ったところで信じてはもらえないと分かっていた。きっと愚かにも身代わりだなんだと悲劇ぶっているに違いない。自業自得だ。「もう酷いことはしないでください」というのがアンブロンの言葉だ。こちらとしては何も酷いことをした覚えもないが、一度きりでは済まなかった行為に溺れておいてまるで被害者で腹が立つ。怒りで真っ赤になった顔は存外可愛いもので、心を巣食っていた彼の泣き顔を思い出そうとしても出来なかった。そういえば、彼の泣き顔を知らないのだ。アンブロンの濡れた声を聞きながら記憶を辿ってもひとつも見当たらない。そのうちに「ファルマ」と呼ばれて腕の中を見れば妙に愛しくて初めて唇に触れてみた。彼のそこも、同様に熱を持ちぬめり心地いのかを最期まで知れることはないのだろう。

■LSotW ブラー×カップ
シガーを噛む歯の隙間から指を差し入れて、弾力のあるそれが唾液でするすると逃げるのを掴まえ非難の色を見せる目元にそっと口づけた。満更でもないような顔をしてカップは顔を背けることはせず、口内を緩くかき乱すブラーの指を歯で掴まえる。「痛いよ、ボス」 少し力を込めれば歯を型どり痕になる。濡れた指を引き抜きながらシガーを取り上げて、ブラーが無防備な唇に吸いついたかと思えば一瞬のことで、カップは再び何事もなかったかのように噛んだ装置を舌でつついた。「ごめんね」「苦しいんだよ」「うそ、好きでしょ?」「嫌いじゃあねえな」互いに笑い、生を感じて体に触れた。

■G1 ブロードキャスト×トラックス
すごいことを、してしまった。目の前にぱちぱちと星が散って身体中が熱くなって、目を閉じたら何もかもがリアルで、特別の意味がわかった。「やばい」「うん、」「くっそお…」「うん」「もっかい、するぞ」「うん、していいよ」初めてのキスを何度も繰り返して、夜が解けていく。

■MTMTE ファーストエイド×アンブロン
診察台の上で恨めしそうにガリガリと体をかきむしる。可哀想なひとは優しくてぼろぼろで綺麗じゃない。「僕に助けを求めてください」返事はないが、はがれた塗装の細かな色たちが床に降り積もる。思いの丈に見合わない吹けば散る簡単なそれは、正にゴミのようなこのひとのプライドだ。/「苦しそうですね、アンブロン先生」

■AT ブラー×ロングアーム
暗闇に黙して無知で愚かな清々しい青の向こうからは異形の爪先がこの首を絞めるためにやってくる。愛だなんだとよく回る舌先が入りこんで吐き気がした。俺ならば傾慕する彼に触れることさえ叶わない。「長官?泣いてるんですか?」「いいえ」「泣きそうですよ」私にも耐えられないこと。

■Prime メガトロン×ラチェット
招かれもしない膝の上へ乗り上げて舌触りの悪いむき出しの尖った歯の表面を舐める。受け入れ難いとただでさえ恐ろしい顔を歪めて威嚇する様が妙なことに愛らしく、ラチェットはそろそろと銀色に光った胸元を指先で辿り、その中心の毒のように魅了してやまない紫色のインシグニアに触れた。鼓動を感じるような、メガトロンの生きる証。そこを軽く叩くとようやく鬱陶しげに顔はあげられ、唇は遠のいた。「媚を売るな、何を考えている」「きみのことだけを、考えているさ」「お得意の嘘はどうした、アレにはよく飽きもせずホイホイとついていたじゃないか」凶器のような指先が開かれた片方の太ももを掻いて、白い塗装が削げ落ちる。その快感に震えてラチェットは逞しい胸に縋りついた。一度としてその腕には抱いてくれなかった、救えなかったアレの胸には小さな擦り傷だらけの、赤色の透けた、「ラチェット」「…なんだ、メガトロン」すうと目が覚める。声に目線をあげても、輝く赤がある。「貴様はどう足掻いてもアレの犬だな」「止してくれ、私はもう、忘れたよ。早くきみのものにしてくれ」「哀れだな、ドクター」凶暴な牙の向こう側に誘われて長い舌がぴちゃりと音を立てる。アレ、が、死に絶えた音と同じ水音に酷く昂った。

■G1 スカイワープ×スカイファイアー
すっかり見慣れてしまった黒と紫の亡霊のような彼が私の上に乗り上げてスタースクリームとの記憶を剥奪していく。未練がましくそこら中にこびりついた想いが粘液に絡め取られ流れ、後の私には何も残らない。まるで筐体ような自己に酷く虚しかったことだけははっきりと覚えている。

■MTMTE スキッズ×ラング→マックス
恐れをもって触れる大きな手の平をそっと頬に押し当てる。戸惑うように彼が息を呑む。愛しさを教えてはくれない眇められた悲しい赤色の奥に彼は何を潜ませ守り眠るのだろう。そっと壊れてしまわないようにと離れる心に唇を押しあてて、耳鳴りのように笑い声が聞こえる。「どうした?」「何も、何もありませんよ」「…そんな顔ではない」「そう思いますか?」ならば、どうか私の耳を塞いで。からかうように体を熱するあの声を忘れたい。ただひたすらに眩い誰かから、暗がりの安寧を求める私を助けて。/

■MTMTE オーバーロード×フォートレスマキシマス
綺麗に接合された新たに健全な指を舌先で愛しげにねぶり、装甲の隙間から誘う柔なそこへ歯を立てる。いくらかは重要な役割を果たしていたであろう配線のコリコリとした弾力を楽しんだ後、それを千切れば穴の開いた喉が快感に虚しく鳴いた。「マックス、言わなければわからないよ」光もなく落ち窪んだ目元を覗きこみながら、オーバーロードは拗ねたように唇を尖らせる。そうして横たわる機体の独裁者たる彼は歌うように「喋らない君はつまらないね」と身勝手に、次に手にしたペンチをフォートレスマキシマスのだらしなく開いたままの口へと忍ばせた。「今の君に不要なものを取り除くだけだ、怖がることは何もない。いいね、終わったらすぐにご褒美をあげようか。話せるようになるまでにちゃんと考えておくんだよ」だらりと垂れた舌を挟み、唾液ですり抜けてしまわないように力をこめる。耳障りな雑音は一瞬のことだった。たった一握りで貫通された舌からの強烈な痛みは、辛うじて繋ぎ止められたマキシマスの意識を砕いた。

■Prime スタースクリーム×ホイルジャック
虫の羽音のような振動音が響いている。投薬で鋭くなった体が堪えきれずに何度も跳ねる。すると自制を許さず迸るオイルが音を立てて床に散る。悪趣味な拷問の終わりはまだほど遠く、ホイルジャックは内心毒づきながら繋がれた四肢を揺らし、再び角度を変えて責めたてる振動に歯を食い縛った。絶対に声などあげて堪るものかと抵抗する。引きずり出されたコネクタが糸を引き、わずかな照明の光をぬらぬらぬらと反射しようとも、レセプタに尻尾のように性具を挿入され、地獄のような快感をもたらされ続けようとも、屈するつもりはない。 どんなに無様だろうが心が折れては終わってしまう。ホイルジャックは敗北への嫌悪感からの吐き気すらも道連れに、気が遠くなるほどの快楽に耐えきった。「おーおー、酷ぇ臭いだなこりゃ。何度イったんだ?え?ホイルジャック?」首謀者の長い指先が顎にかかり、上向かされたホイルジャックはうっすらと笑みを浮かべた。「さあな、数える暇などなかったで候」「そんだけ気持ちよかったんだろ?栓しときゃよかったか?床がテメェの出したもんでぐっちゃぐちゃだ。片付けんの誰だと思ってんだ」 「貴様でないことは確かだろう、スタースクリーム」 「まあな」 にやりと厭らしく笑ったスタースクリームが指を鳴らすと、背後に控えていた数機のビーコンが前に出る。/ボツ

■G1 アストロトレイン×サンダークラッカー
ほぼ極限にまですり減らされた自尊心の前ではただ否定されないということは救いだ。誰かに求められる幸福を知ってしまってからは、例えその直後に奈落の底へと突き落とされようと、その背中には羽がついていたし、また歩けば誰かの手を取れる。代替品にも満たない水色の機体。愛すべき愚物の兄弟。/スカワ視点
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