(ホイルジャック×ウルトラマグナス)R18



特徴的な青い装甲のない滑らかな銀色に刻まれたアクアのラインが、人の街を煌びやかに彩るネオン管のように目を引いて婀娜やかに誘う。ウルトラマグナスとっては単なるボディの一部でしかないが、おそらく本人すらも気付いてはいない性感帯という意味を持ってうねる時、ホイルジャックは堪らない気持ちになった。幾度となく指の先で、舌の先で味わったとしてもとても手放す気にはならない。両手でがっちりと抱えたままぴたりと動きを止めて、荒い排気を繰り返し、再び腰を穿つとウルトラマグナスの腹が大きく波打った。
「まだ、いけるだろう?」
冷やかす声にはただ視線だけが返ってきた。スラブの上で今にも巨躯をずり上げてしまいそうな衝撃に、いつの間にか声を殺してホイルジャックを睨め付けている。どれだけの経験をつませても意識が絶頂へ向かえば、必ず唇をきつく結んでいる様はいじらしい。それが官能を煽ることになど気付きもせず、健気なウルトラマグナスを見上げているときは軽率にも楽しいと感じる。サドだマゾだと言うのならば己は前者だろうとホイルジャックはまた笑ってみせた。
「アンタは、どうにも、可愛くて参るよ」
怪訝そうなマゾヒストへ目配せし、長い腕が肩を抱き寄せて強請られるキスに応える。動きを緩めて注意深く接近しても、互いの間で擦られたウルトラマグナスのコネクタはオイルを噴き上げた。三度目ともなれば量も薄くなった体液が機体を汚していく。愛しい銀の腹を滑っていくものが、あらゆるセンサーで感知しなくとも鮮やかに心をくすぐった。
「ああクソ、たまんねぇな」
「くっ、んぐっ、ぃっ……う、ぁっ…!」
「もうちょっとの辛抱だ、ウルトラマグナス」
ホイルジャックは喉を鳴らして限界を追い求めるために、ウルトラマグナスを強く抱き直した。直感して強張りかけた体が逃げる前にその最深部を掴む。ただ熱いだけのレセプタの内部は気持ちがいい。冷静さを欠き本能に支配されれば、緩やかに留めておいた動きも段々と激しさを増していくばかりだ。予期していたはずの感覚にウルトラマグナスは仰け反ったが、掴まれたホイルジャックの肩は軋む音を立てている。抉るような突きあげにようやく解けた唇から悲鳴があがり、何もかもを丸出しにしてしまうことの愉楽にスパークが躍る。
「ウルトラマグナス、もっと、もっと寄越せ」
「待て…!うっ、待っ、は、早くっ、あっあっ、うっ、くそ…、ホイッ、ルジャック!」
「そりゃどっちなんだ…?」
「イっ、また、ぃっ…ゃっ、く、終わらせ、っ…、あっ」
喋るだけの余裕を取り戻しつつあるウルトラマグナスにホイルジャックは声もなく笑みで応えた。ガツガツと硬い機体をぶつけ合う音が反響する。やがて程なくしてコネクタを嵌め込んでいた恥部がきゅううと収縮した。立場が逆転したような、抱いているのに抱かれてているような、境界が曖昧になるほどの一瞬が見える。互いの呼吸が合わさり真っ白な光の中に飛び込む心地で、奥歯を噛んだ。
達すると繋いでいた不可視の導線がふつりと切れる。物理的な繋がりはそのまま断つには切なく、ホイルジャックはブレインサーキットから熱が逃げていくのを感じながら、前のめりに脱力した。
「っ、…っ、はっ…、お、い……大丈夫、か」
「……俺の台詞だろう、それは」
ウルトラマグナスがその言葉に小さく笑ったのを知って、気恥ずかしさに大きく上下する胸をヘッドパーツの先でノックし、自然と穏やかなキスをした。微かな全身の震えが唇から集中して伝わる。頑なに閉じていただろう歯が未だ快感に打ち震えているのがわかる。しかし、マナー違反でぶつかった胸に痛い瞳のあり様に舌を引っ込めたのは、惜しくもホイルジャックの方だった。ウルトラマグナスは一呼吸置いて、ぎこちない指を肩から頬へ滑らせる。
「お前は、他にやることはないのか」
「ない。アンタと寝たから、本日のお勤め終了ってとこだな」
「……人手不足など探せば腐るほどある。暇なら次からは派遣先を紹介しよう」
「したばかりで色気ない話をするな。俺との時間が減ってもいいならそうしてくれてもいい。上官殿の命令には逆らえんさ。ただし、それなりの報酬はもらう」
ホイルジャックがわざとらしく眉を跳ねあげてにやりと笑う。繰り返される問答のなか、とうに脅迫の意味もなくなった台詞の一端に愛しさを覚えてウルトラマグナスは排気した。
「好きにしろ」
「ほう、そんなすごいこと言えるんだな。エロい奴だ」
「なんだって?」
「俺の好きにされるんだろう?楽しみだな。ま、次に期待しておいてくれ」
ひらりと手をあげたホイルジャックはそれから小馬鹿にしたように「Sir」と付けて、常温に戻ったウルトラマグナスの腹を愛おしそうに撫でた。



140605
リクエストありがとうございました。
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