神藤くんの言う通り 2/2



「すごいエロい顔じゃん」
「うるさ…っ、つか、もういいだろ…!」
「じゃあ挿入させてもらいます」
綺麗なお前が悪い。俺は神藤のちんこを欲しがった。触ってないのに、俺でもうガチガチにして濡れてるやつがいい。肉を割って入ってくると安心できて、神藤もエロっちい顔で、俺が嫌がるから唇じゃなくて頬にキスをする。
「は、ぁっん……入っ…〜〜っ、きもち、ぃ…」
「喜んでもらえてなによりだよ」
「ん……っるさい」
よく知った男の見慣れたようなちんこでゆっくりと体を犯される。隙間からぷちゅっと空気の玉が潰された音がしていた。神藤が嬉しそうに目を細めるから、内側からも外側からも満たされて、気持ちがいいんだ。
「ぜ、んぶ…入った…?」
「うん。そろそろ覚えたでしょ」
「……ばかじゃねーの」
「もう限界、動くよ」
俺は頷いて神藤が太股を掴んでくれると、肘を立てて上体を起こした。自分の目で繋がったそこを見るのはまだ少しの抵抗はあるものの、興奮する。薄いゴムを纏ったちんこが、出たり入ったりを繰り返す。
「んはっ、あっあッんー…っ」
「勇次の中も馴染んだもんだね」
「こ、んだけっやらされれば、そりゃ、なあ…?」
「そうやって挑発するのすげえいい」
「ひぃッあ…!」
ぐちゅんと一気に突かれてからそのまま、速度をあげて腰を打ち付けられた。肉のぶつかる音が大きくなって神藤が更に奥を求めて足を引っ張る。俺の肘は簡単に崩れて、手当たり次第に布を掻くばかりだ。
「あっああ、んぁっンッ…しん、ど…ッ」
「俺のこと呼びたいなら違うでしょ」
「み、みっちゃ…それやぁ、やだぁ、イっイきそうっ」
「勇くんは可愛いなあ」
神藤はセックスの間、無意識のうちに変化するの子供の頃の呼び方を好んだ。光美、みつみ、みっちゃん。恐らくは俺が無理に離れようとして一度失敗したそのことを、神藤は根にもっているらしかった。
「中ぁっあっ…ッぐりぐりす、んぁ…!あんっあ、あぁ…ンッ、しなっそれじゃな…あ…!」
するなと言いたいのに喘ぎで言葉が繋がらず、神藤は腰をグラインドする。このまま前でも扱かれようものならすぐに射精しそうだ。そのくせ俺はぎゅっと目を閉じて夢中になった。いつまでも見飽きない整い過ぎた顔がどんな風に獰猛な表情をしているかがわかる。神藤の荒い息遣いと汗の量までそれこそ自分のことのようにわかってしまう。こんなことではきっと俺は、もう女の子なんかでは満足できないはずだ。
「勇くん、ゆっ…う…も、俺も出そう」
それにこんな切なそうな声を他の誰かに聞かれるのもなんだか癪じゃないか。なんて、こんな時ばかり素直にものを考えられる。さっきまで俺のを咥えていた口だけれど、恋しくなって神藤の頭を抱き寄せて噛みついた。呼吸が苦しくなってそれまでが快感になる。
「あんっぁひッ、うああっあっあっい、いいっ…みっみつ、だめっイクッイくから…!」
「じゃあ、一緒だね」
余裕のある笑い方をするのが憎らしいのに可愛くて、俺もたまらず中にいる神藤を締めつけた。大きな快感が弾けて声にならないほどの絶頂を迎え、薄いゴムを通して俺に向かい神藤も出したという実感と愛しさが、じんわりと胸に染みわたっていった。


暫く呼吸を整える間くらいは抱き合っていたけれど、いつまでも体重をかけてのしかかれるのはしんどい。換気に開けた窓からはそよりとも風が吹かずに暑くて、神藤の髪を引いて退かす。痛いよとまた笑った鼻を摘まんでやったら、やっぱり喜びながら隣に座り直した。
「で、結局学校で何があったの?」
「それひっぱるかよ」
机から下敷きを取りだして、仰ぎ手を神藤に押し付けて俺は呆れた。黙っていればわからないことだとは思うし、何かしらの結果が変わることでもない。どう足掻いたって、恐ろしいことに俺は神藤以外を選べない。そのことをよく知っているのは他でもなく俺たち2人の当人だ。でもだからこそ、隠し事はすべきでないとか、そういう心理だろうか。俺は結局告白の件を口にしていた。すると神藤はつまらなそうに唇を尖らせた。
「女子ってのは侮れん、俺が目光らせてないとコレだ」
「なんだよそれ」
「勇次って結構モテるって話」
有り得ないだろ、と思わず口走ってしまう自分が痛々しく思えてきた。けれどこれまでにそんな異例もなく、紛れもない本心である以上は仕方ない。真剣な顔してブツブツと呟いている神藤に聞きたいことはあったが、聞きだして俺が納得するような返答も期待出来ずに止めることにした。
「ま、どうせ断るのも想定済みだからよし」
神藤が一人で頷いて、俺の肩をぐいと抱く。
「勇次は俺以外に興味ないもんな?」
「とんだナルシストだよお前は」
しかし全くもってその通り。俺は神藤以外に欲しいものができるのか想像もつかない。改めて上機嫌な神藤の顔を観察する。無造作にワイルドさも残した黒髪に、きりっとした眉に少し長い睫毛と、心臓をぶち抜くような真っ直ぐな視線をもって、鼻は高い。それになんだかんだと、その唇から発せられる言葉全てに甘さがあるのがいい。
「俺のこと好き?」
「はいはい大好きだよ」
よくよく考えてみれば、もしかするとこれは俺の欲目だったりするのだろうか。



141002

 



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