勘違いなどではなかった。目の前にいるこの男は、確かに自分を嘲笑っている。
「あんたも可哀相な奴だ。生きているからこそ、満たされたいと願うのに…きっとあんたは生きている限り、その望みを叶えられない」

 生きている、限り?

「……死ななければ、俺の望みは叶えられない、と……?」
「そうだ。もしくはあんたが今のあんたでいる限り、死ぬまで……決して満たされることはないんだ」
 清介(せいすけ)は気が遠くなるような感覚がした。それは、流れ出た血によるものだけではない。
「感謝しろよ。俺のお陰で、あんたはようやく満たされるんだ」
 そう言って男は刀を、振り下ろした。




生きているからこそ




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