腐臭がする。
それは「死」の臭いではない。
「崩壊」の臭いだ。
腐臭がする。
だが、見た目には分からないのだ。何ともない、ただのヒトだ。
――内側から、じりじりと腐っていっているのだろうか。
そうだ、そうに違いない。
腐臭がどんどん強くなっていく。
それを認識できたとしても、私にはだだ「それだけ」だ。
どうにもならない。
どうにもできない。
どうにもしない。
今の私にはそれさえ、いやそれも分からない。
腐臭が、するのだ。
それは好い臭いのはずがなく、不快なものである。
だから、他人(ヒト)は私を見ると顔を顰めるようになったのだろうか。
ついに外見もヒトではなくなったのやもしれない。
あぁ、内側が内側が。
それでも私が気になるのは内側の腐り具合なのだ。
今、どのぐらい腐っているのだろう。
腐臭がしていたのだ。
それは今も変わらない。
ただそれを、他人以上に私自身が、疎んでいる。
腐臭が腐臭が腐臭が腐臭が腐臭が腐臭が腐臭が腐臭が腐臭が腐臭が…………。
惣兵衛、君も感じるだろうか。
この臭いを、この醜態を。
臭い