きっとあなたは笑っている。ごみのようにそれを摘んで、私のことをばかだ滑稽だと嘲笑っているに違いないの。もしかしたら、鼻で笑っているのかも。
 私なら、その光景を鮮明に想像できる。

 悪いけどそれは本物よ。本物の指なの。
 そんな何人もの男性(ひと)にこんなことをしようだなんてつもりはないから、墓場から掘り出してきたりなんかしない。
 それは私の小指よ。

 ただの指だからってばかにしないで。それは確かに指でしかないけれど、指だって決して単純なものじゃないわ。
 爪、皮膚、指紋があって……もっと詳しく言えば爪の垢だってある。
 中に肉があって骨があって、神経だって血管だってあるの。私の指。

 単純ではないの、私の気持ちと一緒で。
 一言で言ってしまえばただの指(恋)。でもねでもね、中身は複雑なの。たくさん詰まっているの、いろいろなものが。

 体が痛いのはかえっていいかもしれない。心も痛いのだから、バランスがとれていっそいいんだわ。
 そういえば小指はもう一本あるけれど、飽きずにまたあなたに送ってしまうかもしれない。
 私は。

 あなたに嘲笑われても。あなたに鼻で笑われても。




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