葬送


肉体が箱につめられて
冷たい土の中へと
引きずり込まれていく


御霊は神のもとへ


父、母の姿を
兄、姉の姿を

焼き付けることもなく

弟、妹の

心配をすることもなく


肉体は土へ還る
御霊はなかなか帰れない

行き場を失っているのか
躊躇っているのか
戸惑っているのか


泣いているのか。


浮き沈みをいくら繰り返しても
たどりつけない場所があり

いつか泣くことにも、怒ることにも飽いて


瞼を閉じたら


下れる日が訪れる

溢れんばかりの
言祝ぎと共に送られて


再び大地の温もりに
抱かれれば



何もかも思い出す



泣いたことも
怒ったことも
恋したことも
怨んだことも
喜んだことも
憎んだことも
愛したことも

生きること、生きたこと

何もかも
全て



それから再び
見送られる日まで

引きずり込まれる日まで。




下地愁魂(げじしゅうこん)


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