遠い遠い昔
君といた時のことを思い出す

何処か惹かれるものがあって
よく一緒にいたね
よく遊んだね

僕らは似た者同士

その言葉がうれしかったこともあったのに
君との違いを思い知って
とてもじゃないけど敵わないんだと知って

僕の中に溝が生まれた


夕日に剣を翳し合って
志を語ったあの日

お互いに夢を忘れないように
お互いに夢を叶えられるように
僕ら剣を交換したね

君の勇気も一緒に託されたような気がして僕は
とても誇り高かった
それが僕の力になった


だけど
僕らは戦わなくちゃならなかった


あの日お互いに託した剣
込められた思いがどこへ行ったかは知らない
ただ憎かった
憎いと思うしかなかった
そうしなければもう……だめだったんだ

僕のも君のも
剣は折れてしまって
やっと言葉を交わすことを始めたけれど
僕は忘れてしまった

君と話した言葉を
君が語った言葉を

未来に描いた夢とは違う現実は絶え間無く訪れる

通じる会話を忘れたまま
慰めもなく
視線さえ交わすことができない
少なくとも僕は

いつになったら僕ら
また出会えるだろう


まだ君は溝の向こうにいるよ
きっと僕もそう
越えられるくらいにはまだなれないんだ
でも――

あの日みたいにまた
夕日に見守られながら
君と一緒に生きることを
未だに夢見てしまうよ

ただの甘えだと知っていても
そう、君がかけがえのない人だったから
僕の一部だったから




交わした剣


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