――どうせするのなら幸せな約束がいい。

 きっとそんなことは、わざわざ決意を表明するように改めて心に思うようなことでもないのだろうが、少女は誓うようにその言葉を自分の中で唱えていた。
 何かに執着できないでいた自分が、自分の生活が。たった一つの約束によって、潤いを得、色彩を帯び、香しい匂いをも放つようにまで変わりゆく様は非常に心地がよかった。正に夢心地だった。
 あぁ、幸せ。と、少女は思う。
 そうなのだ。
 約束が幸せなものであれば、それでもう彼女は幸せだったのだ。不安に胸を蝕まれることなく穏やかな心持ちでいられる。
 果たされる時のことなどは気にはならなかった。幸せな約束、それさえあればよかった。
 それさえあれば、少女の世界は受け入れたい現実として、広がっていけるのだから。

 叶えられる約束か否かなどには関係無く。




幸せな


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