母は何を願ったのだろう。

 眠っている私の頭を優しく撫でながら、何を思っていたのだろう。
 私には想像もつかない。

 私は自分が思っていたより、母のことを知らなかったし、母は逆に、私が思っていたより私のことを知っていた。
 驚いた、というより、母はやはり「母」なのだな、と感心するように思った。

 それは知ろうとして知ったものなのか、それとも自然と知れたものなのか。どっちにしても、気づかないうちに私は母に包まれていた。

 束縛ではなく、それは温かな庇護。
 押しつけではなくて、自然体の慈愛。

 母について、分からないことは多いけれど、私はきっと幸せ者なのだと思う。
 私は母に愛されていたのかもしれないのだから。

 母の願いをいつか知る時がきてもこなくても、私は胸に抱き続けるのだと思う。
 母が注いでくれた、その温もりの全てを。


 それが、祝福であると信じて。




祝温


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