昔の方が……そう、幼い頃の方が強かったと思う。
当たり前ではあるけれど、今よりも随分知識も考えも浅はかで、バカだったに違いないのに何故か強さだけは幼い頃の方が勝っていた。
幼い頃していた愚かな行為も、今ではもうそれが愚かな行為だと分かっているからしない。
昔怖かったものも、今では怖くなくなっていたりする。全てが全てというわけではないけれど。
色々なことを学んで知識をつけ、様々に悩み、経験を積んで、昔よりは賢く、昔よりは浅はかではないとそう思っていた。
私は別に幼子をバカにしているのではない。
幼子とはそういうものなのだ。これから、これからたくさんのことを知っていく身。
何も知らなくても、当たり前なのだ。
そうなのだけれど、幼い頃の私は今よりも強かった。強かったのだ。
怖いもの知らず、無鉄砲、若さ故…もしかしたらそういう類のものなのかもしれない。
けれど私は不思議で仕方がないのだ。
人とはどうしてこう変わっていくものなのだろう。
この世にあるもの全て、そしてこの世自体も、移りゆくもの、絶えず流れ変化していくものだとは知っている。
だが、どうも人のこととなると私はそれでは納得することができない。
何も知らないことは強さだろうか。
何かを知ることは弱さになるのだろうか。
私は――弱くなった。
強くなりたいとずっと願っていたのに。
少しでも成長したいと抗っていたのに。
変わる