※無印15話と最終話の話を含みますので、ちょっと死ネタっぽくなってます。
繰り返し繰り返し夢に見るのは、星に帰れそうになった時にオレの手からスルリと抜け落ちたコンボイの手、表情、絶望感。スローモーションで落ちていくコンボイを、ただ見ていることしかできなかった。自分がどれだけ無力か思い知らされた。その後、コンボイは無事に帰ってきたけれど、オレの頭には落ちていくコンボイの姿が刻み込まれていた。 誰かを失うのがこんなにも怖いだなんて知らなかったし、知りたくもなかった。 オレは今日も、失う恐怖を感じながらコンボイに接する。
永遠をください
コンボイの部屋の前で耳を澄ませて、中の様子を窺う。全神経を耳に集中させると、小さな寝息でも聴くことができる。夜中に基地内を彷徨くのも慣れてしまった。自室からコンボイの部屋まで少し距離があるけれど、寝息を聴かないと安心できない。耳を澄ませているのに一向に寝息が聴こえない。心臓が爆発してしまいそうなくらいの速さで動いている。怖い。死んでしまった?そんなわけがない、とまた耳を澄ませる。寝息の代わりに聴こえてきたのはこちらに近づいてくる足音だった。 ヤバい、そう思ったが時既に遅し。 開いたドアの向こうに無表情のコンボイが立っていた。その無表情に恐怖心が働いた。手の震えが止まらない。
「…チータス、最近のお前はおかしいぞ?何かあったのか」 「オレがおかしいのは、今に始まったことじゃないじゃん」
いつもの様に、淡々と答えたつもりが震えた声になってしまった。こんな答えでコンボイが納得するとでも?
「チータス、おいで」
その声に体が勝手に動いた。 コンボイの胸に飛び込んだら抱き締められた。 心臓の音が生きているということを証明してくれた。 嬉しい筈なのに、この温もりを知ってしまったオレはまた恐怖を覚える。
「コンボイ、置いていかないで」 「――…お前を置いていったりするものか」 「約束だよ――」 「ああ」
一層、強く抱き締められて安心した。手の震えはどこかに消たから、コンボイの背中に腕を回したら、耳元で囁かれた言葉に胸が躍った。
「約束、したのにね――」
涙が頬を伝って、渇いた地面を潤した。
貴方がいない世界は無色透明で色を失った。オレはこの世界で生きていかなければならないの?今すぐ死んでしまいたいよ。永遠なんて、望まなければよかった。
2013/04/29 09:17
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