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さくら


※10年後




汚い汚い汚い汚い汚い。
正チャン以外は全部汚い。
それを正チャンに言ったら、「僕だって汚いですよ」と言われた。
そんなこと一切ないのに、正チャンはきれいなのに。
正チャンは自分がどれだけきれいかをわかっていない。


「白蘭さん、仕事してください」
「してるよ〜」
「してないから言っているんです」
「正チャンは今日もきれーだね」
「…またですか。男に綺麗だなんて、」
「おかしいかな?ボクはそう思わないけど」
「…白蘭さんの自由ですよ」


呆れた正チャンはボクの姿を綺麗な瞳に映すのを止めた。
その綺麗な瞳にはボクは汚すぎるってことなのかな?
正チャンという綺麗な存在が近くにいるだけで(今はモニター越しだけれど)、ボクの汚さは軽減される。


「桜が見たいんだけど、日本にある?」
「桜、ですか?今の時期だと難しいと思いますけど…」
「正チャンがいる日本に行きたいなぁ」
「…この戦いが終わったら来てください。日本はいいところですよ」


自分の生まれ故郷の話をしたからなのか、正チャンはまた綺麗な瞳にボクを映してくれた。
キラキラと光る瞳は本当に綺麗で、胸に針が刺さったみたいにチクリと痛んだ。
近くにあったマシマロを口に含んでにっこり笑う。


「正チャン、」
「なんですか?」
「正チャンの為に頑張るね」
「…僕は白蘭さんの為に頑張ります」
「アリガト、じゃあね」


通信を切って瞼を閉じた。
正チャンと桜のことを思い浮かべた。
きれいなものと綺麗なものが一緒だと、汚くなるかと思ったのに、汚くなるどころか更に綺麗になった。
その場にボクはいてはいけない気がする。
正チャンは一緒にいることを許してくれるかな。
ボクは瞼を開いて面倒くさい仕事に取りかかった。





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2012/09/14 10:32





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