9月の寒い日 9月の終わり、今までの暑さが嘘のように涼しくなってきて、夜はだいぶ冷え込んでいる。 伝説と言われる俺も一応学生なわけで、来週からテストだと聞かされた。 そんなことを聞いたら流石の俺も伏魔殿になんて籠っていられなくなる。 成績は常に上位でなければならない。イヅナさんがいつも言っていることだ。小学校の頃と同じで勉強は得意ではない。だが口うるさいイヅナさんに逆らえるわけもなく、一週間前には地上に戻って来ている。 料理の出来ない自分に毎回夜食を作ってくれているイヅナさんには本当に感謝している。 「ヤクモ様、今日は冷えますのでお体に障らないようにしてくださいね」 「あぁ、ありがとうイヅナさん」 そう言ってイヅナさんは部屋を後にした。 本当は夜更かしなんてせずにすぐにでも床につきたいぐらい疲れているが、イヅナさんの為にも頑張らなければ。 『ヤクモ様』 「どうしたんだ、ブリュネ」 『何か手伝えることはございませんか?』 「…そうだな、今のところはないから、みんな休んでいてくれ」 『そうでありますか、では、お先に失礼いたします』 「あぁ…、あっ!」 『何かありましたか?』 「出来ることがあったぞ!」 『本当ですか!なんなりとお申し付けください!』 「式神、降・神」 「榎のサネマロ見参!」 『ちょっとヤクモ!なんでサネマロなのさ!!僕だって良いじゃないか!』 「んん〜、眠いでおじゃる…」 『タンカムイはん落ち着きなはれ!』 誰かを贔屓するのはいけねいというのは分かっているんだ。だが、サネマロにしか出来ない仕事だってある。こんなことをすると、タンカムイの嫉妬に悩まされるというのは承知の上だ。この間なんて一週間も口をきいてくれなかったのだから。 「サネマロ、おいで」 「…なんれおじゃるか」 「いいから、ココにおいで」 俺はそう言ってサネマロの手を引っ張って自分の胸の中に収め、ギュッと効果音が鳴るくらいに抱きしめた。 『ぎゃああああああああああ!!!!!サネマロ、てめぇぇえええええ!!!!』 『タンカムイはん落ち着きなはれええええええ』 『…私は寝させていただきます』 『タカマル殿、不貞寝でありますか?』 「ぬくい…」 「うぅ、苦しいでおじゃる…」 みんなを降神しなくて良かったと思ってる。あと、式神の意志で降神出来なくて良かったとも思ってる。そんなことが出来ていたら俺もサネマロもタンカムイに殴られているだろうから。殴られるじゃすまないかもしれないが。 『ヤクモなんて嫌いだばああああああか!!』 ------------------- 5体の中ではサネマロちゃんが一番あったかいと思うので…! タンカムイはヤクモ大好き。 タカマルはサネマロが好きでやらせてもらってます。 2010/09/23 |