「ああ、おー」

 今日の晋助は返事が曖昧だし、声のトーンが低い。私が何か機嫌を損ねるような事をしたのかと考えるが思い当たる節はない。このままではこちらも気持ちが悪い。晋助の隣に寄り添うように座り込み、顔を覗き込めばふいとそっぽを向かれてしまう。

「何か機嫌悪い?」
「別に」
「それ! それがもう機嫌悪そうに聞こえる!」

 晋助は大人気ない所が多すぎる。みんなが抱く高杉先生なんて理想のまた理想だといつも思ってしまう。

「…………今日」
「今日?」
「…………やっぱ言いたくねぇ」
「言いかけて言わないのは無しだって。今日何かあったの?」

 余計モヤモヤしてしまうではないか。晋助から目を逸らさずにじっと見つめていれば観念したのか頭を掻きながら仕方無しといった感じに口を開いてくれた。

「……ういが男と仲良さそうに話してたのに、……嫉妬した」

 恥ずかしそうに顔を逸らした晋助に思わず顔がにやけてしまう。晋助もそういう事思ってくれるんだ。

「そっか、そっか。嫉妬しちゃったかー」
「茶化すなよ。結構本気でイラッときたんだから」
「ごめんって」

 私が謝るより早く、すでに晋助の腕の中。強めに抱きしめられれば私って愛されてるんだなと幸せな気持ちに包まれた。


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