いつもの様にベッドの中に潜り込んできたういを衝動的に組み敷いてしまった。ういの顔は目を見開いたまま時が止まっている。そんな状況が全く飲み込めていないういに「嫌なら止める」なんて酷だと自分で思う。
 ういが否定する事などない、とわかっていながら。ただういからすれば男として意識もしていなかった、それ以上に親代わりとも思っていた男に組み敷かれているのだ。衝撃は計り知れないだろう。
 俺も俺だ。ういに恋愛感情と親心どちらでいるか決めてもらおうだなんて。ういが親心を選択したら、俺はここから引くつもりだ。それでも、ういは俺に対して今後申し訳なそうに、そしてどこか俺に恐怖心を抱えて生きていく事になるのだろう。
 段々と涙目になっていくういは、俺を真っ直ぐみているだけで、微動だにしない。

「うい」
「……ジ、ン」

 声は震えていても、頬には涙が伝っている。それでもなお、俺はういの腕を離す気になれなかった。ここまで来たら俺自身決着をつけてもらいたかった。
 ういは息を飲み、言葉を続ける。

「い、い……よ。ジンに全部あげる。私自身も、私の人生も好きにしていいよ」

 予想の範囲内の答えに思わず口角が上がる。意地の悪い男だと思うが、俺の中では犯罪にも満たないこの行為に何とも思えないのも事実だ。だが、ういの返答を聞く限り親心を選択されたのか恋愛感情を選択されたのかはわからなかった。

「いいんだな」

 そう言って、ういの唇を塞ごうとした時だった。

「確認するなんて酷いよ! 怖いよ、ジンが知らない人みたいで怖い。……嫌って言えないの知ってるのに、わかってるのに。ねぇジン」

 聞いた事がないくらいの、悲鳴にも似た声を上げながら、ういは俺の肩を押し返してきた。きっとここで俺が止めたとしても、ういは泣き続けて更に混乱してしまうだけだろう。
 結果、自分で気持ちは決めなければと。俺はういの腕を押さえつけ唇を塞ぎ、舌をねじ込んだ。俺にされるがままのういの姿にもう止まることもない。ういの熱い口内を散々もてあそんだあとに、唇を離せばういが「ジン、大好きだよ」と呟く。元々白い肌が更に白くなるほど、俺の裾を掴んでいる指は見て見ぬふりをしたけれども。


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