「せんせ……。やぁ……」
「んな、甘い声出して。嫌じゃないだろ」

 学校の保健室。俺は養護教諭で相手は生徒。一度も染めたことのない真っ黒な長い髪をポニーテールにしていて、ブラウスのボタンはきっちり首元まで留められている。スカートは膝下。黒のソックスにワンポイントすら入っていない。頭の先からつま先まで学校の規定通りの生徒がなぜ授業終わりに頭が痛いと保健室に訪れたのか。学校は終わってるのだから、帰ればいいだけなのに。その目は寂しそうで物欲しそうな目をしていたものだから。
 上杉の横を通り抜けて、鍵を閉める。振り返れば上杉が微かに笑った気がした。

「せんせぇ?」

 舌っ足らずな甘い声。深く細い息を吐く。上杉に近づけばそっと白衣の襟元を捲ってきた。

「慣れてるな」

 真っ白くて細いその手に自分の手を重ねようとする。すると、ひらひらと逃げていった手。男心をくすぐられる手の動き。気づいた時には反射的に手を掴んで、ベッドへと押し倒していた。
 満足気に微笑んだ上杉に乗せられたと悔しくなって、思い切り唇に噛み付いた。息継ぎも許さないくらいの激しい口付け。自分がある程度満足したところで、解放してやる。肩で息をして余裕ない上杉に大人気ない優越感を抱きながら、セーラー服のリボンに手を伸ばした。


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