私の隣にはあの鬼の副長、土方十四郎。万年、平でモブ的な女中の私からすれば変に意識してしまうわけで。たまたま休憩に選んだ縁側が同じだけだったのだ。
 視線で挨拶はした。ただ、それだけ。あと、「タバコいいか?」と一言。
 ひたすら沈黙。いや、元々ほとんど接点などないのだ。それに私は休憩中。副長さんも休憩中。お互いまったりのんびりしていれば、それで構わないのだ。
 そう考えれば気が楽になってきた。ふと隣を見れば何か考え事をしながら、タバコを吸っている副長さんの姿。そうだ、お茶とかいらないのかな? と聞いてみる。

「副長さん、お茶とか飲まれますか?」
「いや、いい。お前も休憩中だろ。気にするな」

 そうやって優しく笑った副長さん。少し、ドキリと鳴る心臓。副長さんはこうやってファンを増やしては、極度のマヨラーだと落ち込まれているのだろう。別に優しいのだから、マヨラーでもいいのでは? と思ってしまうが副長さんに夢を見ている女の人たちはそうはいかないのかもしれない。
 ゆっくりした時間。今日は早く仕事を終わらせすぎたなぁとウトウトしかけた所に、「トシー! 総悟ー!」と局長さんが二人を大きな声で呼ぶ声が屯所に響き渡る。
 サッとタバコの処理をした副長さんは立ち上がって、「忙しくなるぞ」とボソッと呟いた。

「救護の用意をしておけ」
「えっ、はい!」

 さっきの眼とは全く違う眼。鋭くて真剣な目つきに鳥肌が立つ。少しだけ異様な雰囲気でそこを去っていった副長さん。私もボヤボヤしていられない。私もすぐさま立ち上がった。


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