一目惚れはあるのだと確信した瞬間だった。とても綺麗な人だなと理解して、上杉さんに笑いかけられた時にはもう好きだと思っていた。

「初めまして。上杉ういです。よく獄から話しは聞いてるわよ。十四くんよね」
「そうっス! よろしくお願いします!」
「ういじゃねぇか。事務所まで何か用か?」
「忙しかった? 何度も電話したのだけれど」
「悪い。相談中の時にかかってきてた見てぇだ」
「そう、それなら良かった。これ家に忘れてたから。要るか要らないかわからなかったから、とりあえず持ってきたわ」
「ああ。ありがとう」

 そして、すぐに失恋をした。上杉さんは扉の向こうから現れた獄さんの恋人だったのだ。

「で、十四は何の用だ?」
「えっ、ああ。近くまで来たので寄っただけ……です」
「どうした? 何か元気ねぇな?」
「きっ気のせいっスよ。自分、用事思い出したのでこれで失礼するっス!」
「あっ、ああ……」

 明らかに動揺してたのは、上杉さんにも獄さんもきっとわかっていた。けれど、あそこにいる方が耐えられなかったから仕方ない。けれどまた上杉さんに会ってしまったら、自分は上杉さんをひたすら目で追ってしまうに決まっているのだ。


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