「えっ、何、びっくりするじゃん」

 夜も深けみんなが寝静まる頃、私はみんなには内緒にしている内職を黙々としていた。すると、そこに突然大の男が額に玉のような汗を浮かべながら現れたのだ。三蔵が肩で呼吸をしているあたり余程の何かがあったのか。

「何? まさか敵が襲ってきた!?」

 の割には辺りは静か過ぎるし、三蔵は少し落ち着いたのか私に何も言ってこないまま私の目の前に座ってきた。三蔵の慌てた様子と内職が見つかってしまった事に私も内心焦りはしているものの何とか顔は平常心を保つ。椅子に座った三蔵は机の上に散らばっているものをチラッと横目で見たが特に何も言ってこなかったが、その変わり遅れ気味にさっきの私の言葉を返してきた。

「案外、敵、かもな」
「えっ、どういう事?」

 全然状況を飲み込めていない私のアタフタした様子に三蔵は少し笑って「夢の話だ。昔の夢を見た」と言った。三蔵の昔の話しはチラッと聞いた事がある。決して明るくはないその話にどう話せばいいか言葉に詰まってしまう。

「こんな夜に驚かせたな。すまなかった」
「えっ、ああ、うん。大丈夫」

 珍しく謝ってきた三蔵に拍子抜けしてしまう。でもどこか表情の明るくなった三蔵に安心もしている。謝りながら立ち上がった三蔵は何事も無かったかのように部屋を出て行った。


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