「合成、だな」
そう手に取ってすぐに言い放ったのは、あのデュガリーの外商の北上顕定。私の彼氏だ。
「マジか」
「マジだ」
くそぅ、あの男。喜んだ私がアホみたいじゃないか。そもそもあの男も合成だって知らなそうだ。太客ってわけでもないし。
「じゃあ、売れないじゃん」
「売れっ子キャバ嬢様の思考は恐ろしいな」
私を横目に机へと偽物のダイヤモンドを雑に放った顕定は私の隣へと座って腰を引き寄せてきた。
「何?」
「キャバ嬢なんかやめちまえよ」
顕定の口から何度聞いたかわからないその台詞。だから私もいつもの返答をするだけ。
「じゃあ、結婚してよ」
「それは……」
意地悪をしたいわけではない。顕定は律儀に倉田屋との約束を気にしているだけ。私は抱き寄せられるまま、顕定に体を預ける。
「大丈夫。そういう真面目なとこが好きで一緒にいるんだから」
「悪い……」
そんなバツの悪そうな顔が私は好きではなくて。自分の中のモヤモヤを消すように顕定にキスをすれば、顕定は優しくそれに応えるように私をソファへと押し倒すのだ。