大きな屋敷では、煌びやかなシャンデリアの下、色とりどりの美味しそうな料理が並び、立食パーティーが行われている。訪れているのは、大企業の社長や政界の大物。その中に一際多くの男性に囲まれている女性が一人。
 名前は上杉うい。芸能界ではトップモデルの位置におり、世界にその名を馳せている。彼女の周りに出来ている人集りは次はウチでイメージモデルを、あわよくば仲良くなりたい者。とにかく彼女との人脈を欲しがる人達で溢れていた。
 その様子をあまり快く思っていない男がここに一人。彼は跡部景吾。この屋敷の跡取り息子であり、今は会社を継ぐ為の勉強中。男性に取り囲まれている彼女は自分の婚約者なのだ。許嫁とかではなく、彼自身が愛して決めた婚約者。その彼女が有名モデルといえど、やはり男としては嬉しくない光景で。
 ただ、ここは社交の場。早く彼女を独り占めしたい気持ちを堪えて自身も笑顔で周りの対応をこなしていく。横目で彼女の肩に腕を回した男をしっかりと視界に捉えながらも。
 彼女は無邪気にニコニコしているだけ。そういう業界の人間だから仕方ないと頭ではわかっていても、心が追いつかない。そんな自分はまだまだ子どもなのだろうと頭の片隅で考えながら、パーティーは進んでいく。



 華やかなパーティーも終わりを向かえ、さっきの喧騒とはうって変わり、静かな屋敷の一室。ういは跡部の部屋へと訪れていた。
 ただ、跡部の様子がいつもと少し違う事にういの心はザワついてた。

「景吾さん、何か怒っていますか?」
「……男に囲まれてただろ。それに肩に腕も回されてた。仕方ないのかもしれないが、見ていていい気分にはならなかった、だけだ」
「すみませっ」

 ういが謝りきらないうちに、跡部はういの腕を引き寄せ強引にういの唇に口付けを落とした。ゆっくりと引き離せばういの頬は真っ赤に染まっている。

「謝って欲しかったわけじゃねぇ」

 跡部はそう言えば、さっきより強引にういの腕を引っ張り後ろにあるキングサイズのベッドへと押し倒し覆いかぶさった。

「俺が勝手に嫉妬してただけだ」

 そう言った跡部は深い口付けをし始める。ういは今日は眠らせてもらえないなと跡部の首に腕を回した。


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