ダメだともちろんわかっているくせに、職権乱用もいいところ。
 保健室というスペースで保健委員の仕事だと言いお気に入りの生徒を傍らに置いていると学校に知られたらすぐにクビだろう。けれども彼女上杉ういはこれっぽっちも疑うことなく俺が用意した学習机に向かってせっせとアンケートの集計をしている。
 黒縁メガネで黒のロングストレート。スカート丈は校則どおり膝下。そんな真面目ドスレートな彼女に俺は恋をしてしまっているらしい。認める、認めたくない以前に保健室で二人きりの空間を作っているわけだから、認めざる得ないのだが。
 ボヤーっと彼女を眺めていると、「終わりましたよ」と声がかかる。見ていたのを悟られないように視線を上手くズラす。

「ありがとう、早かったな」
「いえ、このくらい。では、そろそろ塾に行かないとなので」
「塾ねぇ、真面目だな」
「これでも受験生なので」

 行儀よく俺に一礼して出て行った背中を見送る。

「これでも受験生って。見たまんまだよなぁ」

 上杉が集計してくれた紙を見れば、頼んでいないとこもついでといった風にまとめられているところにまた男子学生の様なときめきを覚えてしまうのだ。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -