■それは、恐らく、
私ってアホなのかな?バカなのかな?
それは、恐らく、
AYSの会長さんにいじめ宣言をされた次の日、相変わらず靴箱には大量の手紙が入れられていた。
試しに一枚その場で開いてみると"早く席変えなさいよ!このビッチ!!"と書かれていた。
……ビッチって、ただちょっとイケメンが好きなミーハーなだけなのに。
「てか、ミーハーなのによくあんたあの三人に嫌われてないよね。」
手紙を見たのか、登校してきた友子がそう話しかけてきた。
そー言えばそうだね、と頷きながら、確かにミーハー嫌いな彼らには嫌われてもいいはずなのに、と考える。
「一時間目ってなんだっけ?」
「あー…たしか英語」
「げ、マジか」
英語は隣の人とパートナーになって教科書の会話文を読まされることが多い。
つまり、私のパートナーは幸村君な訳で…
「どうしよう…私、英語苦手なんだけどなぁ」
いつも平均点より少し下、基準点と同じくらいという平々凡々な成績しか取れない。
これが国語とかだったらまだ自信があったのに!
そうこうしているうちに教室に着いた。
朝練もすでに終わっている時間帯で、もちろんあの三人も昨日と同じく楽しそうに会話をしながら座っていた。
「あ、私用事あるから」
じゃ、とそそくさと鞄だけ置いて教室を出ていった友子。
親友を見捨てやがって…!
おはよう、と声をかければあまたもの視線が集まる。
うぅ…帰りたい……
今にも後退りしそうな足を無理矢理動かして席につく。
鞄から教科書を取り出してそこで気が付いた。
英語の教科書忘れた!?
うそ、だって昨日…そう言えば、机の上に置きっぱにしてた…?
「ヤバい…どうしよう……」
呟いていると本鈴が鳴り、先生が入ってきた。
慌てていたため、私は幸村君が楽しそうにじっとこちらを見つめていることに気が付かなかった。
それは、恐らく、地獄へのカウントダウン
自分の首を自分で絞める
(私、死ぬのかな…)